データの所在と利活用の流れを可視化することが、企業のアナリティクスにおける最も重要な課題──こう指摘するのは、インフォマティカ・ジャパンの久國淳氏だ(写真)。同氏が、2016年3月4日に東京で開催された「データサイエンティスト・ジャパン2016」において、次世代アナリティクスの姿を披露した。同氏は、それを実現するためには7つの条件と6つの能力が求められると主張した。

写真●インフォマティカ・ジャパンの久國淳セールスコンサルティング部ソリューションアーキテクト
写真●インフォマティカ・ジャパンの久國淳セールスコンサルティング部ソリューションアーキテクト
(撮影:古立 康三)
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 講演では、まず企業のアナリティクスにおける現状の課題を整理した。現在、アナリティクスを手がける企業では、数多くのデータソースから情報を集約するようになりつつある。ERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理)などのアプリケーション、データベースや文書ファイル、クラウドやソーシャルといったデータソースをアナリティクスの対象に含めるようになった結果、数々の課題が浮上してきた。経営情報の可視化におけるリードタイムの長期化、オンプレミス(社内運用)のシステム間あるいはクラウドサービスとの間での統合コストの増大、重複や不整合などによるデータへの信頼性の低下──といった課題だ。

 久國氏は、「IT環境や経営環境は急速に変化している。これに対応するために何か新しいことを手がけようと思っても、システムが足かせになるケースが少なくない。これでは企業活動のアジリティー(俊敏性)が失われかねない」と評する。

次世代アナリティクスには6つの能力が求められる

 このように現状を分析した上で、久國氏は次世代アナリティクスの姿を解説。次世代アナリティクスの条件として、(1)ビジネスとITの変化に迅速に対応する柔軟性、(2)分析の生産性を高める再利用性、(3)特定のテクノロジーに依存しない抽象化、(4)データの意味に対する認識の齟齬(そご)を防ぐ共通認識の整備、(5)分析サイクルを加速させるビジネス-ITコラボレーション、(6)既存のデータ資産を把握するためのメタデータ共有、(7)データを資産として管理するためのデータガバナンス──の7つを掲げた。