写真●アスクルの岩田彰一郞代表取締役社長兼CEO(右)とマネーフォワードの辻庸介代表取締役社長CEO
写真●アスクルの岩田彰一郞代表取締役社長兼CEO(右)とマネーフォワードの辻庸介代表取締役社長CEO
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 アスクルとマネーフォワードは2016年3月1日、法人向けと個人向けの両事業で業務提携すると発表した(写真)。2016年夏をめどに、オフィス用品通販サービス「ASKUL」での購買情報を自動取得できる「MFクラウド for ASKUL」を提供開始するほか、個人向けの日用品ネット通販サービス「LOHACO」と連動可能な家計簿アプリ「LOHACO 家計簿 powered by Moneyforward」をリリースする。本提携で両社は顧客基盤の拡充と既存ユーザーの満足度向上を目指す。将来的には、アスクルが保有する購買情報やマネーフォワードが蓄積する会計情報などを組み合わせ、新しい与信サービスの提供などを視野に入れる。

 「ASKUL」で140万超、「LOHACO」で累計250万超のユーザーを擁するアスクルが、マネーフォワードと手を組んだ。「LOHACO」ユーザー向けに家計簿機能を提供する目的で、同社に接触したのがきっかけ。今回、協業範囲を法人向けにも広げた形で提携に至った。3カ月でのスピード合意だったという。

 マネーフォワードは、個人財務管理(PFM)サービス「マネーフォワード」で約350万、法人向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」で約50万の利用者を抱える。アスクルは利便性の高いサービスを投入することで、サービスの付加価値向上を目指す。マネーフォワードは、全国に広がるアスクルの顧客基盤や販売パートナーを生かして営業基盤の強化を狙える。

 法人向けの新サービス「MFクラウド for ASKUL」ではまず、請求書作成のクラウドサービスを提供する見込みだ。その後、経費精算などサービスラインアップの拡充を図る。「ASKUL」での購買情報を自動で取得・仕訳するといった機能を提供し、ユーザーの利便性を高める。

 個人向けの「LOHACO 家計簿」は、「LOHACO」アプリとのシームレスな連携を実現する。「LOHACO」での購入情報を自動で「LOHACO 家計簿」に登録でき、同アプリの支出履歴を基に追加購入することも可能だ。

 両社が抱えるユーザーは、個人向け領域で一定数の重複が存在するとみられる。そのため「マネーフォワード」ユーザーが「LOHACO 家計簿」を利用する際は、スムーズに移行できる仕組みを準備する予定だという。マネーフォワードのPFMアプリを機能拡張した場合、「LOHACO 家計簿」も追随させる。マネーフォワードは既に住信SBIネット銀行や山口フィナンシャルグループにPFMアプリをOEM提供している。「LOHACO 家計簿」が加わることによる開発リソースの負担増は軽くないが、アスクルとの提携による新規ユーザーの開拓効果は大きいと判断したもようだ。