鳴り物入りでソフトバンクが買収したものの、米国の携帯電話市場で4位に転落し、崖っぷちに立たされている米スプリント。スプリントの浮沈は、今やソフトバンクグループの中でも最大の懸念事項となっている。

写真1●2015年11月の決算会見で、米スプリントのネットワーク品質をNo.1にすると語るソフトバンクグループの孫正義社長
写真1●2015年11月の決算会見で、米スプリントのネットワーク品質をNo.1にすると語るソフトバンクグループの孫正義社長
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 スプリント再建の一つの鍵を握るのはネットワーク品質の改善だ。ソフトバンクグループの孫正義社長は、ここ最近の決算会見にて「スプリントのネットワーク品質を全米ナンバーワンにする道筋が見えた」「(品質改善のための)会議を毎晩深夜まで開催している。私にとって趣味のようなワクワクする時間」と説明(写真1)。一時期見せた暗い表情から、最近は明るい表情を見せるようになってきたが、肝心なネットワーク品質改善の方策については明かしていない。

 2016年2月22日から25日にかけてスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2016」では、スプリントのネットワーク品質改善の切り札の一つとなると見られるデバイスを会場内で発見した。米Airspan Networksが展示していたリレー対応のスモールセル基地局である「AirUnity」(写真2)である。

写真2●米Airspan Networksが展示したリレー対応スモールセル基地局「AirUnity」
写真2●米Airspan Networksが展示したリレー対応スモールセル基地局「AirUnity」
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 AirUnityは、3GPPのRelease 10で標準化されたリレー伝送技術を使って、家庭内のエリアを効率的に広げられる製品だ。リレー技術を使うことで、マクロセル基地局の電波をバックホール回線として無線中継できる。こちらの製品をマクロセル基地局からの電波を受けられる窓際に置くことで、屋内の電波環境の改善が図れる。Airspanによると、こちらの製品をスプリントが導入検討中という。