調査会社のノークリサーチは2016年2月24日、2017年4月に予定されている消費税率10%への改正と軽減税率の導入にともなう、中堅・中小企業の業務システムにおける対応状況に関する調査結果を発表した。年商500億円未満の企業では、「業務システムのバージョンアップや更新の時期は自社で判断する」が41.7%で最多。次いで「業務システムのバージョンアップや更新の時期は全く未定である」が23.9%、「業務システムの対応は不要である」が11.6%だった。

 同社では、「バージョンアップや更新の時期は自社で判断する」「バージョンアップや更新の時期は全く未定である」といった割合が高まっていることについて、「軽減税率の導入が複数の段階を経て行われる」こと、「軽減税率の詳細には確定していない部分がある」といったことが背景にあると分析する。特に、軽減税率の導入については、各種制度の変更が数年間にわたって段階的に行われ、課税売上高によっては経過措置としての特例もあると指摘した。

 一方、「業務システムの対応は不要である」という回答が比較的高かったことについては、同社は、課税売上高が1000万円未満であることによって課税対象事業者となっていないこと、既に先を見越した業務システム改変を行っているケースがあるという。こうした背景を踏まえ、消費税率10%への改正と軽減税率導入にともなう業務システムの対応方針についてたずねたところ、基本方針では「既存の業務システムをバージョンアップする対応に留める」が52.4%で最多。業務システム更新の範囲では「法的な要件が満たすための最小限の変更に留める」が35.4%、業務自体に及ぼす影響では「業務フロー自体は従来と変更しない」が50.1%となった。

 同社では、2014年4月の消費税率8%改正以降、ユーザー企業にとってはWindows XPのサポート終了やマイナンバー制度など、強制力のあるIT投資への対応を余儀なくされているとする。ITベンダーは、2017年4月の消費税率10%改正や軽減税率への対応を単に「確実な特需」と捉えるのではなく、中堅・中小企業の視点に立ち、適切な改善策を提案をしていくことが大切としている。

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