富士通は2016年2月24日、ネットワーク障害時の復旧作業を自動化できるソフト「FUJITSU Network Virtuora SP」()を発表、同日販売を開始した。あらかじめ決めておいた運用手順を自動で実行するランブック自動化ソフトの一種であり、これまでネットワーク管理者が手動で行っていたネットワーク機器の監視や設定といった運用保守作業を代行する。価格(税別)は、472万円から。販売目標は2018年度(2019年3月期)までに40億円。

図●FUJITSU Network Virtuora SPの概要
図●FUJITSU Network Virtuora SPの概要
(出所:富士通)
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 二つのソフトウエアで構成する。(1)「Policy Design Tool」は、運用手順をワークフローとして記述するデザイナーソフトである。業務プロセスのモデリング(作図)記法であるBPMN(Business Process Modeling Notation)を使ってフローチャート形式で運用手順を作成できる。(2)「Policy Engine」は、作成した運用手順を実行するワークフローエンジンソフトである。スケジュールに合わせて処理を実行したり、監視データがしきい値を超えるといった条件に応じて処理を実行したりできる。

 運用作業の中で、ネットワーク機器から監視データを取得する場合や、ネットワーク機器の設定を変更する場合は、SSH(リモートログイン)を介したコマンド実行、SCP(リモートコマンドの実行)、Web API(REST)のいずれかを利用する。これらの手段を用いて、ネットワーク機器を直接制御したり、外部の運用管理ソフトと連携したりできる。Virtuora SP自身ではSNMPの受信やログファイルへのアクセスなどの手段を持たない。

 実機を用意しなくてもシナリオの検証ができるように、Virtuora SP内にネットワーク機器のシミュレーター機能も持つ。ただし、個々のネットワーク機器の振る舞いを完全に再現しているわけではなく、ワークフローの検証に必要な応答だけを返す。

 Virtuora SPで想定しているユースケースの一つは、ネットワークの障害対応である。現用系ネットワーク回線から待機系ネットワーク回線に切り替える作業をワークフローとし定義したり、障害復旧後の切り戻し作業をワークフローとして定義したりすることによって、これらの作業を自動化できる。条件の設定によって、切り戻し作業を通信データ量の少ない夜中に実施したり、データ量がしきい値を超えていない時に実施したりする設定もできる。