日本マイクロソフトは2016年2月23日、CRM(顧客関係管理)ソフトをSaaS型で提供するサービス「Dynamics CRM Online」の使い勝手を強化し、ユーザー企業の社内システムからインターネットを介さずに専用線で直接接続するサービス「ExpressRoute for Dynamics CRM Online」を開始した。国内のデータセンター事業者4社が接続サービスを提供する。

 インターネットを介さずに閉域網で直接接続できるクラウドサービスの種類を拡充した。これまでは、Microsoft AzureのIaaS環境に直接接続する「ExpressRoute」(2015年1月提供)と、Office 365に直接接続する「ExpressRoute for Office 365」(2015年12月提供)をラインアップしていた。今回これにDynamics CRM Onlineを追加した。

 接続事業者と提供開始時期は、インターネットイニシアティブが2月23日、エクイニクス・ジャパンが3月中、NTTコミュニケーションズが2月25日、ソフトバンクが2月23日。4社のネットワークがExpressRouteを介してAzure/Office 365/Dynamics CRM Onlineと直接つながっているので、これを介して社内システムから閉域網でクラウドにアクセスできる。

 直接接続の対象をDynamics CRM Onlineに広げた背景には、CRMでは顧客情報などを蓄積しており、高いセキュリティが求められるという状況がある。社内システムとDynamics CRM Onlineを直接接続することで、ネットワーク経路上のセキュリティや、インターネットを介することによるアクセス性能の低下といった課題を解消する。

 価格例(税別)は以下の通り。ソフトバンクの場合、ExpressRouteへの接続回線サービス「ダイレクトアクセス for Microsoft Azure」が、帯域10Mビット/秒の最小構成で6万4000円。これに「Office 365接続オプション」を追加すると、Office 365、Skype for Business、Dynamics CRM Onlineへの ExpressRouteによるアクセスが可能になる。Office 365接続オプションの価格は、閉域網からOffice 365へ送信元アドレスを変換して接続する場合、IPアドレス当たり月額20万円。