NTTデータグローバルソリューションズ(NTTデータGSL)、JSOL、EMCジャパン、ヴイエムウェアの4社は2016年2月22日、業務アプリケーション「SAP S/4 HANA」を動作させるためのシステム構成として、オールフラッシュストレージ「EMC XtremIO」とサーバー仮想化ソフト「VMware vSphere 6.0」を組み合わせた構成について実証検証を実施したと発表した(図)。今後は、共同でセミナーを開催するほか、検証構成をユーザーに提案していく。
検証のための設備として、SAPジャパンが提供する「SAP Co-Innovation Lab Tokyo」(COIL Tokyo)を利用した(表)。SAPジャパンはソフトウエアも検証用に提供した。システム環境として、シスコシステムズがPCサーバー「Cisco UCS」とネットワーク機器「Cisco Nexus」を提供した。この環境に、SANストレージのXtremIOとサーバー仮想化ソフトのVMware vSphere 6.0を組み合わせた。
検証では主に、オールフラッシュストレージ(XtremIO)の効果と、サーバー仮想化ソフトの最新版(vSphere 6.0)での動作について検証した。XtremIOはインメモリーデータベースの「SAP HANA」および業務アプリケーションのSAP S/4 HANAを動作させるハードウエアとしての認定を受けている。一方のvSphere 6.0は、近日中にSAP HANAの認定を取得する予定(vSphere 5.5は認定を取得済み)。
オールフラッシュストレージのXtremIOをSAP HANAとS/4 HANA環境で利用する背景には、取り扱うデータ量が増えているという状況がある。SAP HANAはインメモリー型のデータベースなのでストレージ性能を求めることはあまりないと言われてきたが、データ量の増加とともにHANA Dynamic TieringやSAP IQを使った階層型のデータ管理が一般化すると考えられているという。このため高性能なフラッシュストレージを組み合わせるシステム構成の需要が高まっているという。
四つの内容を検証した。
(1)VMware HAとvMotionによるサーバー移動を検証した。性能としてVMware ESXiの再起動開始からHANA起動完了までが約11分、vMotionの所要時間が約3分で終わることを確認した。
(2)HANAのスナップショット機能とXtremIOのスナップショット機能を用いた開発環境の構築を検証した。環境構築までの所要時間として、バックアップ、スナップショット、マウントに15分、データベース設定変更、アプリケーションサーバー構築に45分、合計で1時間で環境を構築できることを確認した。
(3)HANAの稼働条件ごとのパフォーマンスも測定した。従来のローカルハードディスク構成と比較すると、HANAのメモリー展開完了までの所要時間を4分の1程度に、バックアップ時間を2分の1程度に圧縮することができた。一方で、メモリー上での処理が中心となるSQL実行時間については、想定通りディスク構成の違いによる差は出なかった。
(4)VMware vSphereテンプレートを用いたHANA環境の構築も検証した。HANAが稼働するSUSE Linux Enterprise Server(SLES)環境をVMwareテンプレート化し、HANA環境の構築ができることを検証した。構築にかかる所要時間はSLESとHANA合せて約30分で済んだ。
サーバー | Cisco UCS C260-M2(20コアXeon E7-2870 2.4GHz、メモリー256Gバイト)×2台 |
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ストレージ | EMC XtremIO(7.5Tバイト) |
バックアップストレージ | EMC Data Domain 160 |
ネットワーク装置 | Cisco Nexus 5548UP |
サーバー仮想化ソフト | VMware vSphere 6.0 |
SAPソフト | SAP S/4HANA On Premise Edition |
個々のデータベースサイズ | 130Gバイト(インメモリー) |
主要SAPコンポーネント | SAP ERP SAP Simple Finance SAP HANA Platform Edition SAP BI Platform |