写真1●米MODEの上田学CEO(最高経営責任者、左)とニフティの上野聡志ビジネス・デベロップメント・マネージャー
写真1●米MODEの上田学CEO(最高経営責任者、左)とニフティの上野聡志ビジネス・デベロップメント・マネージャー
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 ニフティは2016年2月18日、シリコンバレーのIoT(Internet of Things)スタートアップである米MODEと提携し、MODEが開発したIoT向けのクラウドサービスをニフティが日本国内で販売すると発表した(写真1)。ニフティによればMODEのクラウドを使用することで、IoTシステムの「プロトタイプ(試作)」を開発する工数を従来の10分の1に削減できるとしている。

 MODEは日本人エンジニアの上田学氏が2014年に米サンマテオで起業したスタートアップだ(関連記事:IoTに挑戦したら、面倒なことばかりだった)。MODEが提供するIoTクラウドは、IoTデバイスからデータを収集したり、収集したデータを分析した上でIoTデバイスに指示を出したりするIoTデバイスの「バックエンドシステム」を実現する。

 MODEのIoTクラウドの特徴は、IoTデバイスをコントロールするプログラムを、IoTデバイス上ではなくクラウド上で稼働させることにある。IoTデバイスはクラウドからの指示に従って様々な動作を行う。

サーバーサイドの言語でIoTデバイス用プログラムを開発

 IoTデバイスはプロセッサの処理性能が低かったり、メインメモリーやストレージの容量が小さかったりするため、IoTデバイスで稼働するプログラムを開発するためには、「C++」や「アセンブラ」のような難しいプログラミング言語に習熟する必要があった。それに対してMODEのIoTクラウドを使うと、IoTデバイスをコントロールするプログラムはサーバー側で稼働可能で、そのプログラムは「Python」や「Ruby」といったサーバーサイドのプログラミング言語を使って開発できるため、プログラムの開発工数を削減できる。

 IoTデバイスにはMODEが開発したエージェントプログラムをインストールすると、MODEのIoTデバイスと連携ができるようになる。MODEは「Raspberry Pi」や「Intel Edison」など様々な小型コンピュータ向けのエージェントプログラムを提供している(写真2)。

写真2●MODEが対応する小型コンピュータの例
写真2●MODEが対応する小型コンピュータの例
前列左から米Intel製、米Broadcom製、後列左から「OpenWrt」搭載機、香港Red Bear製、米TI製
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 ニフティは同社がIoTデバイスメーカー向けに提供している、IoTシステムの開発を支援するサービス「ニフティIoTデザインセンター」の一環として、MODEのクラウドを日本国内で販売する。ニフティIoTデザインセンターはIoTシステムの受託開発をするのではなく、IoTデバイスメーカーが「アイデアソン」を開催してIoTのアイデアを生み出したり、アプリケーションやシステムを設計したり、IoTデバイスを使ったサービスのプロトタイプを開発したりするサービスだ。

 ニフティが自社でIoTシステムのプロトタイプを開発してみたところ、従来のやり方では10人月の工数がかかったところが、MODEのIoTクラウドを使用したところ1人月の工数で済んだという。「IoTを成功させるためには、まずプロトタイプを作ってすぐに使い勝手などの検証をする『シリコンバレー流』の開発スタイルが不可欠。そのような開発スタイルを実現するためには、IoTシステムのプロトタイプを簡単に開発できるMODEのIoTクラウドが向いていると考えた」。ニフティからアメリカの富士通に出向している上野聡志氏はそう説明する。