「z13s」の外観
「z13s」の外観
(出所:日本IBM)
[画像のクリックで拡大表示]

 日本IBMは2016年2月17日、中型メインフレームの新製品「IBM z13s(z13s)」を発表した。3月に出荷を始める。最大メモリー容量を従来機の8倍に向上。システム全体の処理性能を4割高めた。社内外のデータやシステムをAPI経由で連携させる「APIエコノミー」や異種データの超高速分析など、急拡大が見込まれるビジネス分野での需要を見込む。

 z13sは従来機「IBM zEnterprise BC12(zBC12)」の後継機種に相当する中型機。IBM社内で利用している性能指標であるPCIに沿った最大処理能力は7123PCIと、zBC12の1.43倍に高めた。このほか、最大メモリー容量は4テラバイトで8倍、入出力帯域は毎秒352ギガバイトで2倍以上へそれぞれ向上した。暗号化処理機構や、複数スレッドの並行処理機構であるSMT(Simultaneous MultiThreading)をプロセッサーに実装。暗号化処理を2倍、Java 8アプリの動作速度を最大1.5倍などに高めた。

 「デジタル技術で社会とビジネスに変革が起きている。デジタルビジネスにおける最強のIT基盤がIBMのzだ」。日本IBMでメインフレーム事業を担当する朝海孝理事IBMシステムズ・ハードウェア事業本部ハイエンド・システム事業部長は、同社メインフレームの特徴をこう説明する。

 朝海理事はz13sの用途を三つあげた。Web APIを介して企業同士が連携し新たなビジネスを創出する「APIエコノミー」、社内外のクラウドを一体的に利用する「ハイブリッドクラウド」、企業内外の大量データから瞬時に知見を引き出す「リアルタイム分析」である。

 IBMはz13sのセキュリティ機能や高い処理能力を前面に押し出し、これらの用途を開拓する考え。例えばAPIエコノミーについては、「外部の企業にデータ活用の道を開きつつ、不用意なデータ流出のリスクにも対処しなければいけない。強固なセキュリティを備えたz13sならば、利用者にストレスを与えることなく、APIエコノミーを実現できる」。