NECは2016年2月15日、病院や診療所などの医療機関ごとに個別に管理している患者の診療情報を、地域内で共有できるようにするシステム「ID-Link」(アイディーリンク)を強化すると発表した。新たに、地域の中核病院ではない小規模の診療所でも情報を公開できるようにするクラウドサービス「ストレージサービス」と、複数機関の患者情報を集約して表示する機能「リポジトリサービス」()の二つの機能を3月1日付でリリースする。

図●サマリービューの画面イメージ(処方履歴)
図●サマリービューの画面イメージ(処方履歴)
(出所:NEC)
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 ID-Linkは、患者の診療情報を地域内で共有するためのシステムである。地域の中核病院が「ID-Linkアプライアンス」を導入し、許可が得られた患者の診察情報を公開する。地域の診療所や薬局などは、WebブラウザーからID-Linkアプライアンスにログインすれば、患者の診察情報を参照できる。ID-Linkアプライアンスの価格(税別、以下同)は、980万円。

 強化点の一つであるストレージサービスは、患者の診察情報を公開するID-Linkアプライアンスの機能をクラウドサービスの形態で提供するものである。ID-Linkアプライアンスを自前で導入する必要がなくなるので、地域の中核病院ではない小規模な診療所でも情報を公開できるようになる。ストレージサービスの価格は、データ量5Gバイトまでは無料。5Gバイトを超える場合、追加5Gバイトごとに月額2980円。

 もう一つのリポジトリサービスは、複数の医療機関が公開している患者情報を集約する機能であり、標準機能として追加される。(1)「標準コードマッピング機能」は、各医療機関が処方・注射・検査結果・病名に対して独自に設定したコードと業界標準のコード(医薬品のHOT9、臨床検査のJLAC10、病名のICD10)をマッピングする。(2)「サマリービュー」は、患者の処方履歴や検査結果を時系列やチャート形式で表示する。(3)「フェイスシート」は、患者の基本情報(既往歴、アレルギー情報など)や日常生活に関する情報などを集約して患者単位で一覧表示する。