インド通信当局の新たな規則により、無料インターネットサービス「Free Basics」のインド向け提供を中止した米Facebookで、インド事業の幹部が退任すると、複数の海外メディアが報じた。

 インド電気通信規制庁(TRAI)は先週、サービスプロバイダーがコンテンツに応じて異なるデータサービス料を適用することなどを禁じる新規則の制定を発表した。そのため、軽量版Facebookや特定のインターネットサービスへのアクセスを無料提供するFree Basicsはインドで利用中止になった。インドでは、Free Basicsが「ネット中立性の原則に違反する」との批判が広がっていた(関連記事:Facebookの「Free Basics」がインドから撤退、当局の新規則受け)。

 米Forbesの報道によると、退任の意向を示したのは、Facebookインド事業マネージングディレクターで、営業部門を統括しているKirthiga Reddy氏。

 Reddy氏が現地時間2016年2月12日にタイムラインに投稿した記事では、半年~1年以内に現職を退くと述べている。その間、日常業務をこなしながら、後継者選びにも協力する。退任後は米国に戻り、Facebook本社で勤務することを希望している。

 英Financial Timesの報道(閲覧には有料登録が必要)によると、Reddy氏はインドの大学でコンピュータ科学を学んだのち、MBA取得のために渡米。米Silicon Graphicsや米Motorolaに勤務し、2010年にFacebookインド事業に採用され、家族とともにインドに移った。

 海外メディアの取材に対し、Facebook広報担当者はReddy氏が異動することについて認める一方、同氏がFree Basicsに関わっていないことを強調した。

 Reddy氏自身もインドを離れる決断をしたことについて、「今年、2人の娘が高校と中学校にあがるため」と述べている。