米Googleが、パソコンやスマートフォンを必要としない、スタンドアロン型のVR(仮想現実)ヘッドセットを開発していると海外のメディアや通信社(米MacRumors米The Verge英Reutersなど)が現地時間2016年2月11日、米Wall Street Journalの記事を引用して伝えた。

 事情に詳しい関係者の話によると、Googleが開発中のVRヘッドセットは、ディスプレイや高性能プロセッサ、周囲を写すカメラなどを備えている。またGoogleは、ビジョンプロセッサを手がる米国の新興企業Movidiusのチップを採用する予定。これにより、カメラで捕らえた映像データからユーザーの頭の動きを追跡するという。

 米Facebook傘下のOculus VRがまもなく発売する「Oculus Rift」はパソコンと接続し、外部のカメラ(センサー端末)でユーザーの動きを捉えるが、Googleのヘッドセットはこれとは異なるアプローチを取るようだとWall Street Journalは伝えている(関連記事:Facebook傘下企業のVRゲーム用HMDをバンドルしたPC、予約開始は2月16日。1499ドルから)。

 GoogleのVRに向けた取り組みついては先ごろ、従来の簡易型VRヘッドセット「Cardboard」同様にスマートフォンを利用するが、本体が段ボールではなくプラスチック製の製品を開発していると伝えられた。Wall Street Journalによると、Googleはこうした簡易型端末の開発も同時に行っている。だがGoogleは、高価なパソコンを使う本格的なヘッドセットと、いわゆる「VR酔い」が起きやすい安価な端末との中間的な製品を狙っているという(関連記事:Googleが新型仮想現実ヘッドセットを開発中か)。

 GoogleのCardboardは、これまでに500万台以上が売れた。また同社は今年1月、VR部門を新設し、それまでGoogle AppsとVR事業を兼任していたClay Bavor氏をVR専門の責任者に任命した。こうした動きは、VRがソフトウエアとハードウエアの両面で収益が見込める分野だと同社が考えていることの表れだとWall Street Journalは伝えている(関連記事:Googleが仮想現実部門を新設か、Facebookを追う構え)。

 シリコンバレーやハリウッドの企業は、ゲームやエンターテインメント、教育などの分野における事業成長に期待しており、これまでVR技術に数十億ドルもの資金を投じてきた。また、この技術をパソコンやスマートフォンのようなコンピューティングプラットフォームと捉えるテクノロジー企業の幹部もいると同紙は伝えている(関連記事:Apple、仮想/拡張現実の開発チーム設置か 積極的に人材雇用も)。