写真●三井住友アセットマネジメント 代表取締役社長兼CEOの横山邦男氏(左)と、国立情報学研究所の喜連川優所長(右)
写真●三井住友アセットマネジメント 代表取締役社長兼CEOの横山邦男氏(左)と、国立情報学研究所の喜連川優所長(右)
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 三井住友アセットマネジメントと国立情報学研究所(NII)は2016年2月9日、金融資産の効果的な運用手法やファンドを開発するための基盤研究を担う「金融スマートデータ研究センター」を、NIIの研究施設として2月1日付で共同設置したと発表した。

 NIIが、民間企業が経費を負担する形で研究施設を設置するのは初めて。センター長はNII所長の喜連川優氏が就任する。「『ビッグデータ』といっても、ただ大きなデータでは意味が無い。精度や鮮度の高いスモールデータを含めた『スマートデータ』が重要になる」(NIIの喜連川所長)。

 同センターでは、経済・社会の中長期的な未来予測につながる統計分析やモデル構築に取り組むほか、通信社の配信記事など膨大な金融関連情報を自然言語処理技術で情報検出・解析する技術を開発する。三井住友アセットマネジメントはこの技術をファンド開発などに生かすが、同センターの研究成果自体は原則として公開する。三井住友アセットマネジメント 代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の横山邦男氏は会見で「『資産運用の圧倒的高度化』という社会的使命に向け、研究費、人的リソースを惜しみなく投入する。業界の外から金融の仕組みに風穴を空けるFinTechに対し、我々は自ら新次元の金融領域を創出する」と語った。

 2019年3月末までの期間で共同研究に取り組む。特任研究者の人件費、100テラバイト級のデータを扱う専用サーバーなどの経費は三井住友アセットマネジメントが負担する。同社は年間約3000万円、3年で計1億円ほどを拠出するほか、必要があれば追加の拠出も検討する。

 国立情報学研究所からは、経済物理学およびブーム現象研究の水野貴之准教授、自然言語処理研究の宮尾祐介准教授が参加し、ほかに特任研究員が2人、三井住友アセットマネジメントから非常勤でファンドマネージャーなど5人前後が参加する。