米メディアの報道によると、米Appleがインド当局に申請していた直営店開設の認可がまもなく下りる見通しとなった。当局はAppleの申請を承認する意向という。ただ、Appleが先に提出していた書類が当局が求める形式と異なっていたため、同社は現在、再提出の手続きを行っているという。米InformationWeek米CNETなど複数の米メディアが現地時間2016年2月8日、米Bloombergの報道を引用して伝えた。

 この報道に先立ち、Appleがインド商工省産業政策・振興局に直営店開設の申請書を提出したと米Wall Street Journalや英Financial Timesなどが伝えていた。Appleは現在、インドの地場流通業者や小売店の協力を得て自社製品を販売しているが、今回の申請が承認されれば、同社は初めて同国で自社単独の小売店を開設することができる(関連記事:Apple、インドで直営店オープンか、同国当局に店舗開設の認可申請)。

 インドには小売業の外資規制があるため、日本や米国にあるような直営店「Apple Store」がまだない。Apple Storeのような店舗はインドでは「シングルブランド・リテール」に分類され、規制により約30%の製品、部品をインド国内企業から調達しなければならない。ところがAppleの製品は大半が中国で製造され、部品も中国などインド以外の国で作られている。

 そうした中、インドではNarendra Modi首相のイニシアチブのもと、外国直接投資の条件が緩和された。昨年11月に同国では15の主要産業部門で規制が変更された。その中には、シングルブランド・リテールが最先端のテクノロジー製品を扱う場合、調達先に関する規則を緩和するという項目もあった。Bloombergの今回の報道によるとAppleはこの新規制の条件を満たすべく、Apple Storeを最先端テクノロジーのプロバイダーとして認定してもらう必要がある。

 米IDCによると、インドはアジア太平洋地域で最もスマートフォン市場の成長速度が速い国。また米Strategy Analyticsは、インドにおけるスマートフォンの年間販売台数は2017年に1億7400万台に達し、同国は米国を抜き中国に次ぐ世界2位の市場になると予測している。

 Bloombergによると、AppleのTim Cook最高経営責任者(CEO)はインド市場の事業展開に大いに期待している。ただ、Bloombergが引用した香港の市場調査会社Counterpoint Technology Market Researchのリポートによると、インドのスマートフォン市場では、韓国Samsung Electronics、インドMicromax Informatics、インドIntex Technologiesの販売台数ベースの合計シェアが50%超を占めており、Appleはわずか2%にとどまっている。