米Googleが新たな仮想現実(VR)用ヘッドセットを開発していると、複数の海外メディア(米The Verge米PCMagなど)が現地時間2016年2月7日、英Financial Times(閲覧には有料登録が必要)の記事を引用して伝えた。このヘッドセットは韓国Samsung Electronicsと米Facebook傘下の米Oculus VRが共同開発した「Gear VR」の競合製品になるという。

 報道によると、新たなヘッドセットは、Gear VRやGoogleの簡易型VRヘッドセット「Cardboard」と同様にスマートフォンを組み込んで利用する。だがCardboardと異なり、本体はプラスチック製で、より高品質のレンズやセンサーを用いる。またGoogleは新たなVR技術を組み込んだAndroidをヘッドセットと同時にリリースする計画という。

 Financial Timesによると、スマートフォンを利用する従来のヘッドセットは、ディスプレーに表示される画像がユーザーの頭の動きよりも遅れる「レイテンシー」が生じるため、いわゆる「VR酔い」が起きる。GoogleはモバイルVRにあるこうした問題を解消したいと考えており、ハードウエアとソフトウエアを改善する。新たなヘッドセットは、従来のようにスマートフォンのセンサーやアプリに頼らない製品になると、Financial Timesは伝えている。

 Googleはこの新型ヘッドセットに関するFinancial Timesの取材に対しコメントを避けた。だが同社のSundar Pichai最高経営責任者(CEO)は先週のAlphabetの決算発表で、「CardboardはVRの取り組みの第一歩にすぎない。2016年は当社やパートナー企業からより多くのものが見られるだろう」と述べていた。また同紙はGoogleのVR事業は過去1年で拡大したとも伝えている。

 GoogleのVRへの取り組みについては先ごろ、同社がこの技術分野に特化した部門を新設したと伝えられた。報道によると、新部門の責任者には、これまで「Gmail」「Drive」「Docs」などのGoogle AppsとVR事業を率いていたClay Bavor氏が任命された。この人事異動により同氏は今後VR事業に専念することになると、米Re/codeは伝えている(関連記事:Googleが仮想現実部門を新設か、Facebookを追う構え)。