富士通は2016年2月4日、企業のビッグデータを預かって分析し、分析結果を提出するスポット契約型のデータ分析サービス「Intelligent Data Service データキュレーションサービス」(図1)を強化し、分析手法としてディープラーニングを選べるようにしたと発表した。ディープラーニングの導入効果を検証できるほか、ディープラーニングを利用して作成した学習・認識モデルも提供する。価格は個別見積もりで、実施期間はおよそ2カ月を一区切りとする。

図1●ディープラーニングを追加した「データキュレーションサービス」のイメージ
図1●ディープラーニングを追加した「データキュレーションサービス」のイメージ
(出所:富士通)
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 富士通のデータサイエンティストが企業のデータを預かって分析する。従来は、機器が生成するログや顧客・商品情報などを対象に、これらの予測モデルを作成するサービスを提供してきた。今回、画像や音声などのデータにディープラーニングを適用し、これらの学習・認識モデルを作成するサービスを追加した。これにより、画像の特徴が一致するかどうかを検知してアクションを起こすアプリケーションなどを素早く開発できるようになる。

 サービスを用意した背景には、ディープラーニングの活用が難しいという状況がある。目的に沿って分析するためのデータ処理技術や高度な専門知識、膨大なデータを計算するIT資源が必要になるため、導入コストが高くつき、効果の検証が難しいという課題があるという。

 富士通では、ディープラーニングの活用方法をいくつか想定している。製造業では、工場において製品の画像をもとに品質検査を行い、完成品の精度を高める。広告分野では、電車内の乗客の人数・顔の向きを認識し、車内の広告を変化させる。医療分野では、レントゲン画像などの臨床検査データから目視では難しい病巣を認識し、早期発見につなげる。スポーツ教育では、一流選手に共通する特徴を映像から抽出し、自分の体の動かし方とのギャップを教える。

図2●ディープラーニングを活用した「Hapicana」の顔分類モデル
図2●ディープラーニングを活用した「Hapicana」の顔分類モデル
(出所:富士通)
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 ディープラーニングの適用事例として、クーシーが運営するコスメ・美容情報サイト「Hapicana」(ハピカナ)向けに新サービスを開発する共同プロジェクトを開始したという(図2)。顔画像データ5万点にディープラーニングを適用して顔を構成する各パーツの特徴を検出・学習することによって、新たなレコメンドサービスの開発につなげるという。