写真1●SAPジャパンの福田譲社長
写真1●SAPジャパンの福田譲社長

 「2016年は『デジタル元年』と言われている。当社も確実に顧客のデジタル変革を支援していく」。SAPジャパンは2016年2月3日、2016年度(2016年1~12月)の戦略を発表。同社の福田譲社長(写真1)が冒頭のように話し、「当社には、全世界の顧客企業のベストプラクティスを基に構築した25業種の標準的なビジネスプロセスがある。これらのビジネスプロセスについてデジタル化で起こる変化を織り込んだ、新たなアプリケーションやクラウドサービスを提供していきたい」とした。

 SAPがデジタル化で力を入れる領域は、(1)顧客、(2)サプライヤー、(3)社員、(4)モノとコト、(5)デジタルコアの五つ。(1)~(3)の領域は、主に買収してきたSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)群、(4)はインメモリーデータベースを中心としたプラットフォームの「HANA」、(5)は新ERP(統合基幹業務システム)パッケージ「S/4 HANA」を中心にアプリケーションやサービスを提供していく。

 加えてHANAをクラウドサービスとして提供する「SAP HANA Cloud Platform」を「2016年は本格的に日本で展開していく」(福田社長)計画だ。年内に日本国内のデータセンターからの提供を開始するほか、営業も強化する。

2015年度はクラウドもオンプレミスも増加

 福田社長は戦略会見で2015年度(2015年1~12月)の業績も振り返った。SAPジャパンの2015年度の売上高は前年度比6%増の6億3600万ユーロだった。「業績は堅調。クラウドだけでなく、オンプレミスのビジネスも伸びている。金額が小さいもののクラウド関連の受注の伸び率が大きかった」(福田社長)という。

 2015年度のクラウド関連の新規受注は前年度比193%だった。特にデジタルマーケティング関連の「Customer Engagement&Commerce」が同396%、ERPのマネージドサービスなどを提供する「SAP HANA Enterprise Cloud」が同218%と伸びた。

 2015年4月に提供を始めたS/4 HANAの日本での採用社数は70社、パートナーは22社となった。「現在、新規のERP導入案件の90%はS/4 HANAの導入を検討している」と福田社長は強調。「S/4 HANAはこれまでのERPと比較して構造がシンプルで導入しやすい。この点を評価して、中堅中小企業からの引き合いも多い」(福田社長)と話す。