写真●北村操代 情報システム構築技術部長
写真●北村操代 情報システム構築技術部長
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 三菱電機は2016年2月3日、IoT(Internet of Things)用途に特化した「高性能センサーデータベース」を開発したと発表した。センサーが収集したデータ処理の性能を高めるために、データ圧縮や蓄積などの方式を最適化した。同社の検証によれば、従来型のリレーショナルデータベース(RDB)に比べて、データの検索や集計の処理速度を最大1000倍まで高めた。2016年度に社内プロジェクトでの実用化を目指すという。

 高性能センサーデータベースは、IoT用途に特化するために独自のデータ処理方式を採用している。センサーが収集したデータを効率的に蓄積するために、あらかじめ用意したデータ圧縮パターンを使ってデータを圧縮するほか、検索速度を高めるために工夫したデータ配置方式を実装するなどしている。三菱電機 情報技術総合研究所 北村操代 情報システム構築技術部長は「PostgreSQL 9.4を搭載するデータベースに比べて、最大1000倍の速度でデータ検索、集計が可能だ」とアピールした(写真)。

 一方で、企業内の情報システムでの利用などには向かないという。「検索性能に特化しており、RDBのようなデータの更新などはできない」(高山茂伸 情報システム構築技術部 情報システム最適化技術グループマネージャー)。

 同社は、道路やトンネルの劣化箇所を診断するIoTプロジェクトなどに、同データベースを活用する考えだ。外販する予定は無い。三菱電機 情報技術総合研究所 情報技術部門の早川孝之統轄は「大量のセンサーデータを処理する技術には、クラウドサービスを利用した並列分散処理などもある。高性能センサーデータベースは、オンプレミスでデータを保持したいユーザーに適している」と話した。