デジタルガレージは、ビットコイン取引の高速化などに使えるブロックチェーン技術「サイドチェーン」を開発するカナダのスタートアップ企業、ブロックストリーム(Blockstream)に出資した。投資子会社を通じ、ホライゾンキャピタル、AXAストラテジックベンチャーズなどと共同で出資。ブロックストリームはシリーズA増資で計5500万ドル(約66億円)を調達した。

 デジタルガレージはブロックストリームの出資を機に、日本市場向けにFinTechなどブロックチェーン関連サービスの開発と実証実験を、他の企業と連携しながら実施する。

 例えば出資先の弁護士ドットコムと組み、電子契約サービス「CloudSign」の発展形として、日本の商習慣に適合したスマートコントラクト技術の開発を検討している。このほかブロックチェーンを応用し、複数の電子マネーや各種ポイントを互いに交換できる決済基盤の開発を、複数のクレジットカード会社や銀行と共同で進める考えだ。

ビットコインの中核開発者が所属

 ブロックストリームは2014年1月創業のスタートアップ企業。複数のブロックチェーン同士を連携させ、取引情報を交換できる技術「サイドチェーン」を使ったオープンソースソフトを開発し、サポートやコンサルティングのサービスを提供している。ビットコインの中核開発者であるGregory Maxwell氏とPieter Wuille氏が所属することでも知られ、2014年11月には、米リンクトイン創業者のReid Hoffman氏などから2100万ドル(約25億円)を調達している。

 サイドチェーン技術のうち「two-way peg」と呼ばれる技術をビットコインに応用すると、ビットコインのコイン情報(UTXO)を一時的にプライベートブロックチェーンに持ち出し、その上で高速に取引を成立させたうえで、そのコイン情報をビットコインに戻す、といったことが可能になる。これにより、ビットコインでは一般に取引の成立まで10分~60分を要するところ、30秒~60秒で取引を成立させることができる。

 ブロックストリームは、2015年6月にアプリケーション開発者向けのサイドチェーン実験用ソフト「Sidechain Elements」を公開したほか、2015年10月にtwo-way pegでビットコイン取引を高速化するソフト「Liquid」を公開。Liquidは複数のビットコイン取引所(Bitfinex、BTCC、Kraken、Unicoin、Xapo)にテスト導入済みという。