米Yahoo!が現地時間2016年2月2日に発表した2015年第4四半期(2015年10~12月)の決算は、44億ドルを超える大幅な赤字となった。同時に同社は成長のための戦略計画や、非戦略的資産の売却を検討していること、噂されていた人員削減策などを明らかにした。

 新たに打ち出した戦略計画では、製品ポートフォリオを単純化し、ユーザーのエンゲージメント向上を優先する。消費者向け製品は、検索、メール、「Tumblr」の3事業と、「News」「Sports」「Finance」「Lifestyle」の4つの垂直サイトで構成する。

 同社が戦略的に重視する「Mavens」事業(モバイル、ビデオ、ネイティブ、ソーシャル広告の総称)についても引き続き注力する。2015年におけるMavensの会計原則(GAAP)ベースの合計売上高は16億ドルを超え、前年と比べ45%成長した。2016年は18億ドル突破を目指す。

 Yahoo!は、2016年に製品ポートフォリオをスリム化し、中核事業の強みを強調することで、株主、広告主、ユーザーにより明確な価値をもたらすことができると考えている。期待ほど成長が見られない「Games」や「Smart TV」サイトなどを終了するほか、非戦略的資産売却の検討も始めた。売却が遂行されれば、年末までに10億~30億ドルの現金を取得できると見込んでいる。

 さらに、前日に報じられた約15%の従業員削減と、5カ所のオフィス閉鎖(ドバイ、メキシコシティー、ブエノスアイレス、マドリッド、ミラノ)も発表した(関連記事:Yahoo!、約1600人の削減と複数事業の閉鎖を発表か)。これらリストラ策のほとんどは2016年第1四半期中に実施し、年末までに手続きを完了する。これにより、同社の従業員数は2012年当時と比べ42%縮小し、短期的には年間4億ドルの営業費用削減が見込めるとしている。

 Yahoo!の第4四半期決算は、GAAPベースの売上高が12億7300万ドルで、前年同期と比べわずかに1.6%増加した。ただし提携企業に支払う手数料(TAC)は2億7100万ドルと、前年同期の7400万ドルから大きく膨らみ、TACを除いた場合の売上高は同15%減となる。

 純損失は44億3500万ドル(希薄化後1株当たり損失は4.70ドル)で赤字に転落。営業損失は45億3000万ドルだった。44億6100万ドルの営業権減損費用など特別項目を除いた非GAAPベースの場合、希薄化後1株当たり損益は0.13ドルの黒字となる。

 米メディアの報道(Forbes)によると、売上高はアナリスト予測の11億8000万ドルを上回り、特別項目を除いた1株当たり利益はほぼ市場予測と一致した。

[発表資料(今後の戦略的計画)]
[発表資料(15年Q4決算)]