NECは2016年2月2日、同社のデジタル無線システムを採用した事例として、箱根登山鉄道の「デジタル列車無線システム」が2015年10月に運用を開始したと発表した。列車無線システムはこれまでアナログ無線を利用していたが、デジタル化によって通話品質や通話効率が向上したという。

写真1●列車内での運用イメージ
写真1●列車内での運用イメージ
(提供:NEC)
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写真2●指令所での運用イメージ
写真2●指令所での運用イメージ
(提供:NEC)
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 列車無線システムとは、列車に搭載した無線装置と指令所を無線基地局を介してつなぎ、列車・指令所間で音声を円滑に伝達するためのシステムである(写真1写真2)。鉄道の運行管理に関する重要情報の伝達や、乗客への迅速な情報提供などに利用する。

 デジタル無線の効果の一つは、通話品質が向上したこと。アナログ無線ではノイズがスピーカーからそのまま出力されるという難点があったが、デジタル無線では音声にノイズが発生しても受信側で修正できる。さらに、音声信号を暗号化することによって通信の秘匿性も向上した。

 デジタル無線のもう一つの効果は、電話のように音声の送信と受信が同時に行えるようになったこと。従来は単信方式を採用していたため、指令所の通話者と列車の通話者が同時に会話できなかった。新システムでは複信方式を採用して通話効率を高めた。