写真●栗島聡代表取締役副社長執行役員
写真●栗島聡代表取締役副社長執行役員
[画像のクリックで拡大表示]

 NTTデータは2016年2月2日、2015年4~12月期の決算を発表した。売上高は前年同期比7.3%増の1兆1453億円、営業利益は同156億円増の642億円で増収増益となった。受注高は同19.0%増の1兆2510億円。金融分野のメガバンク向け、公共分野の官公庁向けの案件がけん引した。4~9月期に総額約100億円となる不採算案件が発生していたが、金融や公共分野で売上を拡大して補った。

 売上高と受注高は全てのセグメントで前年同期の実績を上回った。会見した代表取締役副社長執行役員の栗島聡氏は「IoT(Internet of Things)やオムニチャネルなどを見据えた、いわゆる“攻めのIT投資”が増加している」と見解を示した。加えて、金融分野ではFinTech(フィンテック)関連のITサービスの需要が高まっているという。「2020年の東京五輪に向けてIT投資が継続して伸長すると期待する」(栗島氏、写真)。

 同会見では、2015年4~9月期に発生していた4件の不採算案件のうち、金融分野の1件が収束したことを明らかにした。残る不採算案件は公共分野で2件、金融分野で1件だという。「10~12月期では、不採算案件は新たに発生していない。現状の3案件について追加損失のリスクはあるが、コントロールしていきたい」(栗島氏)とした。

 4~12月期の業績をセグメント別に見ると、官公庁や医療、通信などの「公共・社会基盤」セグメントは増収減益となった。売上高は前年同期比3.5%増の2775億円、営業利益は同61億円減の188億円。電力・ガスなどのユーティリティ業界向けビジネスが拡大したが、不採算案件が響いた。

 「金融」セグメントの売上高は前年同期比5.5%増の3727億円、営業利益は同146億円増の240億円で増収増益となった。「メガバンクを中心にIT投資が盛んだ」(栗島氏)。

 製造、流通業などの「法人・ソリューション」セグメントの売上高は前年同期比6.9%増の2806億円、営業利益は同68億円増の223億円で増収増益となった。

 「グローバル」セグメントの売上高は前年同期比12.4%増の3826億円、営業利益は同3億円減の34億円の赤字となった。スペイン子会社や欧州SAP関連事業が伸長したが、海外子会社買収に伴うのれん償却費用が響いた。

 2016年3月期通期の連結業績予想は、売上高1兆5400億円、営業利益は1000億円と据え置いた。NTTデータは、2016年3月期を最終年度とする中期経営計画で売上高1兆5000億円を目標としているが、既に2015年3月期で達成している。栗島氏は「今期もほぼ確実に達成できる」と自信を見せた。