GMOインターネットとテックビューロは2016年2月1日、両社が同日に業務提携し、テックビューロが開発するプライベートブロックチェーンソフト「mijin」を基盤とするゲーム用バックエンドエンジンを共同で開発すると発表した。ゲーム内通貨の決済、アイテムの所有権移行、進行フラグの保存・照会といったオンラインゲームの基本機能をブロックチェーン技術で実現する。

 両社はブロックチェーン技術の導入により、ゲーム用バックエンドシステムの運用コストを半分以下に圧縮できると見込む。開発したエンジンはゲームアプリ専用クラウドサービス「GMOアプリクラウド」でPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)として販売する。

 両社によれば、ゲーム用バックエンドエンジンにブロックチェーンを応用する利点は二つあるという。一つは、システムが侵入を受けるなどして、ゲーム内のパラメータを不正に操作される「チート行為」を防ぎやすくなる点だ。

 一般的なデータベース(DB)は、サーバーの管理者権限を奪取されればデータを容易に改ざんできてしまう。これに対してブロックチェーン技術を使ったDBの場合、個々のデータ項目について、その項目とひも付く秘密鍵なしにはデータを変更できない。その点でブロックチェーンは「全てのデータ項目に対し、個別にアクセス権限が付与されたDB」ともいえる。このため、攻撃者はサーバーの侵入と合わせて対応する秘密鍵も探し出さない限り、データは改ざんできない。

 さらに、ゲーム内の通貨やアイテムなどは、ビットコインのような暗号通貨同様、勝手に総量を増減できないよう設定することで、改ざんを困難にできる。例えばゲーム運営者用アカウントに大量の通貨やアイテムをセットし、ゲームの進行に従って通貨やアイテムをユーザーに譲渡するイメージとなる。この場合、「アイテム数を0から99に書き換える」などの改ざんは、ゲーム運用者の秘密鍵を奪取しない限り困難になる。プロトコルの設計によっては、ゲーム進行上あり得ないフラグ変更を自動的に排除することもできる。

 ブロックチェーン技術を採用するもう一つの利点は、突然のアクセス急増でシステムの処理容量を超過した場合でも、システムのダウンを回避しやすくなる点だという。データの書き込み要求がシステムの処理能力を超過した場合でも、P2Pネットワークを構成する個々のノード(サーバー)が、書き込み要求を一時保管するメッセージキューの役割を果たす。このため、元帳となるブロックチェーンへの反映が遅延するだけで、システム自体はダウンしにくくなる。突発的なアクセス増に備えて高価なサーバーを用意せずに済む分、コストを削減できるという。