米Appleが、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)の専門家で構成する大規模なチームを社内に組織しており、ヘッドセット端末を開発していると、複数の海外ディア(米Wall Street Journalや米CNETなど)が現地時間2016年1月29日までに英Financial Timesの記事(閲覧には有料登録が必要)を引用して伝えた。

 それによると、この秘密の研究部門は数百人のスタッフで構成され、Appleがこれまで買収した企業に在籍していた人材がいるという。またその中には米Microsoftや、光照射野(Light Field)技術を使ったカメラを手がける米Lytroなど、次世代ヘッドセット技術を開発している企業から引き抜いた人物もいると、Financial Timesは報じている。

 同紙によるとAppleは最近、AR技術の米新興企業、Flyby Mediaを買収した。Flyby Mediaは米Googleの3次元(3D)視覚認識プロジェクト「Project Tango」用ソフトウエアの開発でGoogleに協力してきた企業という。

 今回の報道に先立ちFinancial Timesは、AppleがVR/AR研究の第一人者として知られるバージニア工科大学のコンピューター科学教授、Doug Bowman氏を雇い入れたと伝えていた(関連記事:Apple、VRとAR研究の第一人者を採用 ヘッドセット端末など開発中か)。

 Appleでは2000年代半ばにSteve Jobs前最高経営責任者(CEO)の指揮の下、VRヘッドセットの開発が行われていたが、その技術は未完成のまま計画は中止された。しかし米Facebookが2014年に約20億ドルでOculus VRを買収した後、Appleのこの分野における興味が再燃したとFinancial Timesは伝えている。

 Appleは2013年に3Dモーショントラッキング技術を手がけるイスラエルのPrimeSenseを買収していたが、昨年はAR技術のドイツのMetaio(関連記事)とモーションキャプチャー技術のスイスFaceshift(関連記事)を買収した。Financial Timesによると、AppleがMetaioを買収した直後から同社のこの分野における人材雇用が盛んになった。ただし同紙は、Appleがいつ同社製ヘッドセットを発売するのか、その製品がどのようなものになるのかといったことは明らかになっていないとも伝えている。