写真●会見に臨んだ富士通の田中達也代表取締役社長
写真●会見に臨んだ富士通の田中達也代表取締役社長
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 富士通は2016年1月29日、2015年4月~12月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比1.3%増の3兆4082億円、営業利益は同638億円減の16億円で増収減益となった。国内のSIビジネスの売上高は10月~12月期では過去最高となった。一方で、ハードウエア開発の欧州拠点を一部閉鎖するなどの「ビジネスモデル変革費用」が減益要因として響いた。同日開いた会見では、2016年4月1日付でIoT(Internet of Things)やクラウド事業を推進する「デジタルサービス部門」を新設することも明らかにした。

 会見に臨んだ同社の田中達也代表取締役社長は「ハードウエア関連の一部事業では厳しい市場環境が続いている。これに対応するため、欧州を中心にビジネスモデル変革を加速させている」と話した(写真)。2015年4月期~12月期に計上したビジネスモデル変革費用は合計で219億円。ハードウエア開発拠点の再編などを含む欧州ビジネスの体質強化費用が176億円。2016年1月~3月期に計上する計画だったが、2015年10月~12月期に前倒しで計上した。これに加えて、国内ネットワーク事業の従業員の再配置に42億円を費やした。

 4月~12月期の業績をセグメント別に見ると、SIが中心の「テクノロジーソリューション」セグメントは、売上高が前年同期比1.0%増の2兆3186億円、営業利益は同280億円減の672億円で増収減益となった。国内のIT投資は好調で「SI事業は伸長している」(田中社長)。金融分野ではメガバンク向け、公共分野でのマイナンバー案件がけん引しているという。減益の主な要因はビジネスモデル変革費用だという。

 PCや携帯電話の「ユビキタスソリューション」セグメントは減収減益となった。売上高が前年同期比2.4%減の7643億円、営業利益が同217億円減で133億円の赤字となった。Windows XP更新需要の反動が響いた。

 半導体や電子部品の「デバイスソリューション」セグメントの売上高は前年同期比6.8%増の4637億円、営業利益は2億円減の243億円となった。

 2016年3月期通期の連結業績予想は、前回発表(2015年10月29日)から下方修正した。売上高は4兆8800億円から800億円下方修正し、4兆8000億円。営業利益は1500億円から200億円下方修正し、1300億円とした。ネットワーク関連機器や、LSI電子部品の需要減が主な要因だという。

 富士通は、IoTやクラウド、ビッグデータ事業などに注力して、ビジネスモデル変革を加速させる考えだ。2016年4月1日付で「デジタルサービス部門」を設立する。詳細については明らかにしなかったが、「設立時は、全体として4000~5000人規模になる」(富士通)計画だ。