セールスフォース・ドットコムは2016年1月27日、クラウド型アプリケーション開発・実行プラットフォーム「Heroku Enterprise」(関連記事)で3つの新機能の提供を開始した(写真1)。
1つ目は「Heroku Private Spaces」である。従来のHerokuでは、複数の顧客企業がアプリ実行環境やデータベース、ネットワークを共用する仕組みだったが、新たに顧客ごとに分離した実行環境を利用できるようにした。従来より厳格なセキュリティ設定ができるようになる。金融分野などでの利用や、既存の社内情報システムと接続して利用する用途などを想定している。
2つ目はマルチリージョン対応。従来は米国とドイツのデータセンターから提供していたが、新たに東京データセンターが利用可能になる。相澤歩デベロッパーマーケティングマネジャー(写真2)は「従来比でレイテンシー(遅延)が7分の1から8分の1程度になる」と説明した。
3つ目はシングルサインオン。既存のセールスフォース・ドットコムの認証機構や、Active DirectoryやLDAPなどを用いてHeroku環境にログオンできるようになる。
価格は個別見積もり。競合他社の同種のサービスによくある従量課金方式ではなく、事前に処理量を見積もり、年額で固定料金を課金する。東京リージョンのデータセンターを利用する場合はオプション料金がかかる。
PFM(個人財務管理)システムを手掛けるFinTechベンチャー企業のマネーツリー(関連記事:マネーツリーがWeb版を投入、業務用途ニーズの取り込み図る)は、Heroku Enterpriseの新機能を先行採用した。
同社のロス・シャロット事業部長(写真3)は、「当社は、4年前に創業して以来Herokuを利用してきた。お金に関することを扱うだけにセキュリティ管理はとても重要だが、そこに時間を取られることなく、新機能の開発に集中できるのはありがたい。Private Spacesによってさらにセキュリティレベルが上がり、ビジネスチャンスが広がる」と話した。