写真●HPE Synergyの実機と、米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、HPEシナジー&HPEブレードシステム、コンバージドデータセンターインフラストラクチャ、バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのニール・マクドナルド氏
写真●HPE Synergyの実機と、米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、HPEシナジー&HPEブレードシステム、コンバージドデータセンターインフラストラクチャ、バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのニール・マクドナルド氏
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図●コンポーザブル(組み換え可能な)インフラストラクチャーの概要
図●コンポーザブル(組み換え可能な)インフラストラクチャーの概要
(出所:日本ヒューレット・パッカード)
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 日本ヒューレット・パッカードは2016年1月27日、仮想サーバーだけでなく物理サーバーを含めて動的にプロビジョニングできるブレードシステム型の専用インフラ製品「HPE Synergy」(写真)を発表した。2016年半ばに出荷する。業務システムを構成するサーバー(CPUとメモリー)、ストレージ、ネットワークなどのコンポーネント(部品)をリソースプール化し、ここから必要なリソースを切り出して業務システムに割り当てることができる。リソースの共有化によって余剰な投資を抑制できる。オンプレミスに設置する製品だが、利用量に応じて月額課金する。

 HPE Synergyのコンセプトを同社では、“コンポーザブル(組み換え可能な)インフラストラクチャー”と呼んでいる。プライベートクラウド運用ソフトの機能を介して、仮想サーバーを動的に構成するように、物理サーバーも動的に構成できるようにする()。例えば、システムやソフトウエアの構成を定義したテンプレートを用いて、動的に物理サーバー環境を配備できる。さらに、仮想サーバーと物理サーバーは、共通のインタフェース(Web API)により、同様の使い勝手での区別なく制御できる。

 同社は、インフラ基盤がコンバージド(垂直統合)からハイパーコンバージド(分散ストレージ込みの仮想環境)へ、そしてコンポーザブルへと進化したと指摘する。「仮想環境においてはハイパーコンバージドが有効な手立てだったが、物理サーバーを使うことはできない。コンポーザブルなら物理サーバーを含めて余剰リソースを廃することができる」(米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、HPEシナジー&HPEブレードシステム、コンバージドデータセンターインフラストラクチャ、バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのニール・マクドナルド氏)。

 物理サーバーを業務システムに割り当てる際には、現状では、コンピュートモジュール(CPUとメモリーを搭載したノード、ストレージも内蔵可能)の単位で割り当てる。例えば、4CPUの処理性能を必要とする業務システムに4CPUのモジュールを割り当てたり、大量のメモリーが必要な業務システムに大量のメモリーを搭載したモジュールを割り当てたりする。4種類のコンピュートモジュールをラインアップしており、最上位の「HPE Synergy 680コンピュートモジュール」は、CPUがXeon×4個、メモリーが最大6Tバイト(メモリーモジュール96個)。

 将来的には、モジュール間にまたがってCPUやメモリーを高速に接続するバスを採用するビジョンがある。これにより、モジュール単位ではなくCPU単位でリソースを制御できるようになる。複数のモジュール(ノード)を組み合わせて巨大な物理サーバーを構築できる。

 HPE Synergyの製品構成は、ブレードシステムに似ている。シャーシ(フレーム)に、コンピュートモジュールやストレージモジュール、ネットワークスイッチのモジュール、サーバーにブートイメージを配信する専用モジュール、サーバー構成管理のための専用モジュールなどを載せて使う。1ラックに4台のシャーシを搭載できる。現状では、リソースプール化できる範囲はシャーシ1台に限られるが、将来は5ラック(シャーシ20台)を単一のリソースプールとして扱えるようにする。