米Amazon.comが自社サービスのスマートフォンへの統合について、Android端末メーカーと交渉していると、複数の海外メディアが現地時間2016年1月25日、テクノロジーニュースサイト米The Informationの記事(全文閲覧には有料登録が必要)を引用して伝えた。

 それによると、Amazonは自社サービスのアプリを単にスマートフォンにバンドルするのでなく、サービスを密接に統合した端末を顧客に届けたいと考えている。The Informationの記事はAmazonがメーカー側とどのような交渉を行っているのか具体的なことは伝えていない。だが、同社は単にショッピングアプリを顧客に提供するのではなく、スマートフォン上でより存在感を高めたい考えだと米BGRなどのメディアは伝えている。

 Amazonは2014年7月に独自スマートフォン「Fire」を発売したが、売れ行きが芳しくなく、同年9月に大幅な値下げを行った。米Ars Technicaによると、Fireフォンのアンロック版は2015年8月に130ドルまで値下げされたが、Amazonのスマートフォンはその後間もなくして市場から消えた(関連記事:Amazon.com、独自スマホ「Fire」の製造・販売を終了)。

 その際、Amazonは米シリコンバレーにあるハードウエア研究開発部門「Lab126」でFireフォンの開発に携わった数十人のエンジニアを解雇したと伝えられた。Wall Street Journalによると、Amazonは一時期、機能を絞ったより低価格のスマートフォンを開発する計画も立てていたが、結局同社のスマートフォン開発プロジェクトは、無期限延期となった。

 今回の報道によると、Amazonはインドなどの新興国におけるAndroid端末ユーザーの市場を狙っている可能性がある。広告ベースの事業やオンライン通販事業にとって、米AppleのiPhoneは大きな収益源となっている。だがもし新興国のAndroid端末上で、自社サービスが有利な位置に配置されれば、iPhoneと同様の効果がもたらされると、BGRの記事は伝えている。