写真●アビームコンサルティングの本間充氏
写真●アビームコンサルティングの本間充氏
(撮影:井上 裕康)
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 「日本のデジタルマーケティングはまだ普及フェーズに入ったとは言えない。これから取り組む方々のための、データ分析のポイントを説明する」。

 アビームコンサルティング デジタルトランスフォーメーションビジネスユニット デジタルマーケティングセクター ディレクターの本間充氏は2016年1月25日、東京・目黒のウエスティンホテル東京で開催した「イノベーターズ会議」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)の講演に登壇し、冒頭のように話した(写真)。

 本間氏は、もともと花王でデジタルマーケティングを指揮してきた。2015年10月からアビームコンサルティングに籍を移し、コンサルタントとしてデジタルマーケティングのプロジェクトに携わっている。講演では、データ分析において鍵を握る三つの要素を「データ活用のための3steps」として、説明した。

 最も重要なのは、まずCMO(最高マーケティング責任者)が戦略を決めることだという。データ分析はあくまでも手段であり、目的や狙いをはっきりさせることが先決だからだ。戦略策定をおろそかにすると「近視眼的な取り組みになってしまい、目標を見失ってしまう」(本間氏)という。

 二つめは、データ分析を「簡素化、自動化する」(本間氏)ことだ。ビジネスで成果を得るためのデータ分析手法は、必ずしも高度なツールを必要としないという。「計算をたくさんしなくても、成果を得られる可能性がある。なるべくシンプルに考えることが必要」(本間氏)。データ分析のモデルや手法が確立したら、ITを使って分析作業を自動化する。分析に必要な工数は削減し、分析自体の精度を向上させる。

 最後に本間氏は「マーケティング部門にITを導入し、デジタル化を進めることが必要だ」と語る。例えば、Excelやメールなどを使う日常業務で、それらのツールが搭載する機能を使いこなすことなどが要求される。マーケティング部門のデジタル化を進めるために必要なのは、IT部門が日頃から支援することだという。「マーケティング部門とIT部門は日頃から密に会話をすることが求められている」(本間氏)として講演を締めくくった。