2016年1月19日、富士通はフィリピン・マニラでプライベートイベント「富士通アジアカンファレンス」を開催した。ASEAN地域でのシリーズイベントで、2015年度の第6回。「Human Central Innovation in Action」をテーマに、各種のソリューションを披露した。

写真1●富士通フィリピンのカントリープレジデントであるラウル・サンチャゴ氏
写真1●富士通フィリピンのカントリープレジデントであるラウル・サンチャゴ氏
写真2●富士通の斎藤淳一・執行役員Asiaリージョン長
写真2●富士通の斎藤淳一・執行役員Asiaリージョン長

 冒頭、富士通フィリピンのカントリープレジデント、ラウル・サンチャゴ氏が開会の挨拶で壇上に立った(写真1)。続けて、斎藤淳一・執行役員Asiaリージョン長が登壇し、同社のアジアおよびフィリピンにおける事業について説明(写真2)。同社のサポートセンターがフィリピンにあり、世界的に重要な拠点であることを挙げたほか、富士通がフィリピン・マニラ市に提供している電動三輪自動車管理システムを提供している例を紹介し、ともに社会課題の解決に取り組んでいることを示した。

 ゲストスピーチには、エネルギー・ディベロップメント(EDC)のフェルディナンド・ポブレテCIO(最高情報責任者)が登壇した(写真3)。EDCはフィリピンにおける再生可能エネルギーの事業者であり、地熱発電ではパイオニア的な存在。ポブレテ氏は、その事業に欠かせない情報システム基盤を支える立場から、「EDCのITトランスフォーメーション」と題して講演した。

写真3●エネルギー・ディベロップメント(EDC)のフェルディナンド・ポブレテCIO(最高情報責任者)
写真3●エネルギー・ディベロップメント(EDC)のフェルディナンド・ポブレテCIO(最高情報責任者)

 EDCでは、「2011年から、IT部門を、コンピュータのハード/ソフトの専門家集団から、会社の情報資産を管理し、それを活用して会社をけん引する組織に変えようとしてきた」(ポブレテ氏)。それを象徴的に示すのが、同社IT部門が毎年掲げているテーマだ。とりわけこの数年は、2013年が「Re-imagining the business」、2014年が「Transforming through digitalization」など、ビジネス変革の印象が強まっている。

 一方で、コンピュータシステム(機械)は、データの管理・分析、それらに基づく予測を自動実行するところまで発達し、最適なビジネスプロセスを自ら見つけ出すことまでしつつある。ポブレテ氏は、こうした中にあってIT部門が会社をけん引していくには、好奇心旺盛で、失敗に学ぶことができ、かつ社会性を持った、より人間的な存在であるべきだとし、富士通のヒューマンセントリックと考え方の方向性が同じであることを示した。

 続く基調講演では、富士通の松本端午・執行役員常務CTO&CIO(最高技術責任者/最高イノベーション責任者)が登壇(写真4)。その後のビジネスセッションでは、インテグレーションサービス部門アジアビジネス本部の西 善宏氏、富士通アジア社の山浦亮一ニューソリューションビジネスディビジョン・バイスプレジデント、泉田直樹データセンタプラットフォーム事業本部統括部長が、それぞれのソリューションや取り組みを紹介した。

写真4●松本端午・執行役員常務CTO&CIO
写真4●松本端午・執行役員常務CTO&CIO

 松本CTO&CIOは冒頭で、ASEANにおける各国の経済成長率ではフィリピンがトップであることに触れつつ、さらなる経済成長は今までの延長上にはないと指摘。「人、情報、インフラを結びつけ、イノベーションを起こしていく必要がある」とした。

 人と情報、インフラを結びつけた例として松本CTO&CIOは、位置情報クラウド「SPATIOWL」、IoT(Internet of Things)✕ビッグデータの取り組みを紹介。さらに、同社が顧客とイノベーションの「共創」に取り組んだ事例を披露した。一つは、オムロンの主力工場における製造プロセスの改善。ラインのログデータを収集・解析してプロセス改善につなげた。このほか、オリックス、増田採種場と、ベトナムではFPTとともに推進しているスマートアグリカルチャー事業、東京大学先端科学技術研究センター、興和と取り組むIT創薬なども挙げた。これらも、人、情報、インフラを結びつけたヒューマンセントリックイノベーションの一つである。