写真●三越伊勢丹ホールディングスの大西洋・代表取締役社長
写真●三越伊勢丹ホールディングスの大西洋・代表取締役社長
(撮影:井上 裕康)
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 三越伊勢丹ホールディングスの大西洋・代表取締役社長は2016年1月25日、東京・目黒のウエスティンホテル東京で開催した「イノベーターズ会議」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で講演した(写真)。「三越伊勢丹のデータ活用について」と題し、これまでのデータ分析から得た知見や今後の課題について語った。

 三越伊勢丹は、売り上げや顧客の情報を詳細に分析できるシステムを導入し、全社員がデータ分析を実践する経営スタイルで知られる(関連記事:“全員分析経営”を実践する三越伊勢丹の朝礼に潜入!)。「月曜日の朝になると分析システムの処理速度が一気に落ちる」(大西社長)。この時間帯に多くの社員が一斉に前週の実績データを分析し、そこから得られた知見を朝礼で共有するからだ。

 分析のベースとなるのは、独自発行の「MIカード」の会員約260万人のデータと、売上高全体の50%程度を占める会員の購買実績である。このデータを基に仮説・検証の「PDCAサイクル」を回し、売り場での施策に反映してきた。

 ただし、大西社長は「ここ最近は、今までほどこのPDCAサイクルがうまく機能しなくなってきた」と説明した。その要因として、人口減少による購買力の絶対的な低下や、気候変動などを挙げた。「昔は季節変化が毎年安定していて、品ぞろえの前提として活用できた。だが、近年は猛暑や暖冬・厳冬などが常態化して、従来のやり方が成り立たなくなってきた」(大西社長)。