米Appleがインドで直営店を開設すべく、当局に認可申請を行ったと、米Wall Street Journal英Financial Times(ともに閲覧には有料登録が必要)などの海外メディアが現地時間2016年1月20日までに報じた。

 Appleはインドにおける直営店展開の詳細について明らかにしていないが、同社の広報担当者はFinancial Timesの取材に対し、インド商工省産業政策・振興局に申請書を提出したことを認めた。Appleの製品は現在、インドの地場流通業者や小売店が寄り扱っている。今回の申請が承認されれば、Appleはインドで初めて自社単独ブランドの小売店を開設することができる。

 またWall Street Journalによると、Appleはオンラインによる直販の認可申請も行っている。Appleの今年3月末までの1年間におけるインドの売上高は約10億ドルだった。しかし同国のスマートフォン市場におけるAppleのシェアは2%未満にとどまっている。そうした中、Appleは一部の富裕層に向けた高級ブランドというイメージを払拭し、ミドルクラスの人々にも手が届く製品というブランドイメージを確立したい考えという。Financial Timesは、中国スマートフォン市場の成長が減速する中、Appleはインドがそれに代わる最も有力な市場と見据えているとも伝えている。

 米IDCによると、インドはアジア太平洋地域で最もスマートフォン市場の成長速度が速い国。米Strategy Analyticsは、インドにおけるスマートフォンの年間販売台数は2017年に1億7400万台に達し、インドは米国を抜き中国に次ぐ世界2位の市場になると予測している。

 今回の報道に先立ち、Appleがインドにおける「iPhone 6s」シリーズの価格を最大16%引き下げたと伝えられた。昨年12月には「iPhone 5s」の価格を大幅値下げし、9月時点のほぼ半額にしたとも報じられた。12億以上の人口を抱える同国ではスマートフォン市場の競争が激化している。こうした状況を背景に、Appleはインド市場の販売をテコ入れしたい考えだと、地元紙Times of Indiaなどは伝えている。