電通は2016年1月19日、テレビ番組の内容を字幕情報から取得して特定キーワードを抽出したり、地上波テレビで流れるCM画像から広告主や商材を特定したりする運用を自動化し、それらの情報を外部のサービスとつなげる仕組みである「TV Live Meta Module(β版)」(テレビ・ライブ・メタ・モジュール・ベータ版)を開発したと発表した。

 開発システムでは、テレビ番組やCMから抽出したデータを外部事業者に対し即時に提供できる。番組で取り上げられた情報の取得や運用が自動化されており、外部事業者は既存のサービスに付加価値を加えるコンテンツを提供したり、新たなマネタイズにつながるサービスを開発したりすることが可能になるという。

これにより、番組やCMとタイムリーに連動したコンテンツを、視聴者のスマートフォンやタブレットなど、いわゆるセカンドスクリーンに素早く届けることが可能になるとしている。ソリューションの提供先としては、ポータルやSNSのプラットフォーム事業者や広告配信事業者など、テレビ番組やCMに連動したり関連したりするサービスを提供している事業者を想定する。

開発システムにおける外部事業者への提供は、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で行い、三つのモジュールとして提供する。「シンクロCMモジュール」は、テレビCMと連動し、CMの放送と同時に視聴者のセカンドスクリーンに同一広告主のバナー広告や動画、クーポン、Eコマースのサイトリンクなどを表示する。画像マッチング手法を採用しているため、音声認識による既存のサービスに比べ、識別のスピードが速いという特徴があるとしている。

 「テレビライブワードモジュール」は、テレビ番組内で取り上げられた場所や人物、モノなどのキーワードを自動認識してリアルタイムに表示する仕組みである。同時にキーワードに関連した情報を自動生成する仕組みも備える。例えば、あるタレントの名前がキーワードとしてリアルタイム表示されると、同時にそのタレント関連情報が自動生成され、利用者はその関連情報にアクセスすることができる。

 「テレビライブワード連動広告モジュール」では、特定のキーワードに反応する広告をあらかじめ制作しておけば、テレビ番組内でそのキーワードが取り上げられると自動的に広告を出稿できる。例えば、「花粉症」というキーワードが番組で取り上げられると、そのタイミングを逃さず視聴者のセカンドスクリーンにマスクや花粉症薬の広告を流すことができる。ライブワードモジュールは、字幕放送のある番組のみを対象とする。

活用の第1弾として、マルチスクリーン放送協議会が運用するセカンドスクリーン向けアプリケーションの「SyncCast(シンクキャスト)」と連携したサービスの実証実験を同日に開始した。現在SyncCastは、番組に連動して表示する情報を放送局が事前に準備する必要があるため、対応番組が限定されてしまうという課題を抱えている。今回の実証実験では「TV Live Meta Module(β版)」、なかでも「テレビライブワードモジュール」の活用による対応番組の拡大と、利用者の利便性・使用感の向上を検証する。

 今回の実証実験は、総務省が2015年度に実施する「高度な放送・通信連携技術の活用に向けた地域の放送コンテンツ等の発信に関する調査研究」の一環として行う。

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