日立製作所は2016年1月12日、統合システム運用管理の新版「JP1 Version 11」を1月13日に販売開始すると発表した。3年ぶりとなるメジャーバージョンアップは、「ビジネス要求に追随するためのスピードアップ」に注力。JP1を初めてSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)で提供し、サーバー調達といった準備なしに運用管理を始められるようにした。仮想化環境やクラウドでの活用に向けて、商品体系を刷新。新製品「JP1/Operations Analytics」は、障害時の迅速な原因究明を支援する。

 SaaSの第一弾として、IT資産・配布管理「JP1/IT Desktop Management 2 as a Service」と高速大容量ファイル転送「JP1/Data Highway as a Service」を提供開始。ITプラットフォーム事業本部 ITマネジメントソリューション開発部の加藤恵理氏は、「JP1のどの機能をSaaS提供するか、市場動向やパートナーの声などを参考にした。PCやサーバーなどのIT資産をまだExcelで管理しているユーザーは少なくない。CADや映像といった大容量データをオンデマンドで転送したいというニーズもある」と話す。

 利用料金は、JP1/IT Desktop Management 2 as a Serviceが初期導入費用10万円、基本プラン500円/月・ノード。JP1/Data Highway as a Serviceが同10万円、同9万円/月。SaaSとして提供する機能は今後、順次増やしていく計画だ。

デフォルト変更、パラメータ数を削減

写真1●OS種別、物理環境を意識しないライセンス体系に
写真1●OS種別、物理環境を意識しないライセンス体系に
出所:日立製作所
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 クラウドや仮想化環境での利用促進に向けて、JP1の商品体系を刷新しシンプルにした。製品形名の数を従来より70%削減。媒体とライセンスを分離し、OS種別や物理環境を意識しないライセンス体系に変えた(写真1)。

 パラメータのデフォルト値と数を見直し、導入から運用開始までの時間短縮を図った。管理ソフトウエア開発本部 システム管理ソフト設計部長の石田貴一氏は「OSの進化に伴い同時実行数を増やしたり、現在の回線スピードを考慮したパケットサイズに変更したりと、デフォルト値を最新のIT環境に合わせた」と説明する。カスタマイズ用のパラメータの数は従来版に比べ、ジョブ系で約70%、監視系で約60%をカットした。