米Appleが、人工知能(AI)技術を手がける米国の新興企業、Emotientを買収したと複数の海外メディア(米Wall Street Journal米Forbes英Financial Timesなど)が現地時間2016年1月7日までに伝えた。

 Emotientは米国カリフォルニア州サンディエゴに本社を置く企業。人の顔の表情を分析し、感情を読み取るAI技術を開発している。ただ、Appleが今後Emotientの技術をどのように利用するのかは明らかになっていないという。

 報道によると、Emotientの技術はこれまで、広告や医療、小売り分野で利用されてきた。例えば、広告を見た人の反応を評価するために用いたり、意思を伝えられない患者の痛みの状態を把握するために用いたり、店内にいる買い物客の顔の表情を観察するために用いたりしたことがあったという。

 このニュースを最初に伝えたWall Street Journalによると、Appleの広報担当者は、同社が企業買収を行った際に用いる定例の声明を出してEmotientの買収を認めた。これは、「我々は時折、規模の小さな技術企業を買収するが、多くの場合その目的や計画については述べない」というもので、買収契約の条件など詳細については明らかにしていない。また、EmotientのWebサイトは最近更新され、以前掲載されていたサービスに関する詳細が削除されたと、Wall Street Journalは伝えている。

 同紙によるとAppleはかねて、こうしたAI技術の分野に関心を示していた。2014年には、顔の表情を含むさまざまな情報から人の気分を分析、認識するソフトウエアシステムに関する特許を申請した。2015年10月には、ディープラーニング(深層学習)を用いた画像認識システムを開発する米Perceptioや、音声認識技術を手がける英VocalIQを買収したと伝えられた(関連記事1関連記事2)。