写真●NECの新社長に就任する新野隆副社長(右)と遠藤信博現社長
写真●NECの新社長に就任する新野隆副社長(右)と遠藤信博現社長
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 NECは2015年12月25日、代表取締役執行役員副社長の新野隆氏が2016年4月1日付で代表取締役執行役員社長 兼 CEO(最高経営責任者)に就任する人事を発表した。代表取締役執行役員社長の遠藤信博氏は同日付で、代表権のある会長となる(写真)。

 25日に開いた記者会見の席上で遠藤氏は、「(社長を務めた)6年間でNECの方向性を固めることができた」と振り返った。そのうえで、「企業活動は継続が重要だ。一度決めた方針を継承できる人間がいるタイミングでバトンを渡すことが必要だった」と、社長交代の狙いを語った。4月1日付で新社長に就任する新野氏は、「次の成長に向けた施策を確実に実行していく」と抱負を述べた。

 遠藤氏は2010年4月に社長に就任。半導体事業、個人向けPC事業の非連結化やスマートフォン事業からの撤退など不採算事業を整理する一方、2013年には「社会ソリューション事業」に注力することを鮮明にし、構造改革を進めてきた。「次の成長に向けた基盤はできた」(遠藤氏)として、新しい中期経営計画が始まる2016年4月での交代に至った格好だ。

 2015年3月期のNECの連結決算は売上高が約2兆9000億円、営業利益が約1300億円だった。遠藤氏の就任直前に当たる2010年3月期の連結決算は売上高約3兆6000億円に対して、営業利益は約500億円。遠藤氏の社長在任期間中、NECは27年ぶりに売上高3兆円を割り込んだが、営業利益は2倍以上になった。

 新野氏は1977年にNEC入社。長年、金融機関向けソリューションの営業を担ってきた。2008年に執行役員、2011年に取締役常務に就き、CSO(最高戦略責任者)を務めた。2012年には副社長に昇格。「2010~2012年度、2013~2015年度と2度にわたる中期経営計画の遂行を、私の右腕として支えてくれた」(遠藤氏)存在だ。

 新野氏は、「新社長としてやるべきことは明確だ」と力を込めた。一つは次期中期経営計画で成長戦略を実行することだ。「(2016年4月に始まる)次期中期経営計画では注力領域をさらに絞り込み、柱となる事業を作っていく」(新野氏)とする。NECグループ全体での最適化を進め、業務効率化も進めていくという。

 遠藤氏と新野氏は今回の会見で共に、社会ソリューション事業に注力する現行の方針を継承することを何度も強調した。遠藤氏が筋道をつけたNECの大方針を実際の成長につなげられるかは、新野氏の双肩にかかっている。

■変更履歴
記事公開当初、第四パラグラフで「2016年3月期」とあったのは「2015年3月期」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2015/12/25 22:10]