EC(電子商取引)サイト構築のオープンソースソフト「EC-CUBE」を提供するロックオンと、ブロックチェーンソフト「mijin」を開発するテックビューロは、ブロックチェーン技術をEC-CUBEに応用する実証実験を2016年1月から共同で実施する。
秒間数百件の受注があるような大型ECサイトに応用することで、受注や在庫管理を担うデータベース(DB)管理システムの運用コストを約3分の1に圧縮できる可能性があるという。
EC-CUBEはDB管理システムとしてMySQLとPostgreSQLに対応している。受注処理を担うDB管理システムは、Webサーバーとは違い、処理の分散によるスケールアウトが難しい。このため、ピーク時の秒間数十件の受注を処理するには高価なサーバーが必要になり、年間数千万円のコストがかかっていたという。
ロックオンは、テックビューロのブロックチェーン技術に、注文を受け付けるWebサーバーと接続し、キューイング、つまり受注データの一時保管庫としての役割を担わせる。
受注データが大量に押し寄せた場合も、いったんブロックチェーンの中にデータを取り込み、後からデータをDBに反映させることで、DB管理システムの負荷を平準化できる。「DB管理システムは、トランザクション処理量がキャパシティを超えるとダウンしてしまうが、ブロックチェーンは処理が遅延するだけでダウンしない。ブロックチェーンがクッション役となることで、DB管理システム側には安価なサーバーを使える見込みだ」(ロックオン 取締役副社長の福田博一氏)。最終的な受注の確定処理や在庫管理は通常のDBが担う。
ロックオンは将来的には、EC-CUBEにおけるmijin利用パッケージの独占販売や、大規模ECサイト構築の受注を視野に入れる。