神戸市は2015年12月22日、情報通信基地としての市バスの活用に関する実証実験の第一弾として、「バスロケーションシステム実証実験」を実施すると発表した。

 実証実験の実施予定期間は2016年2月~4月末。市バス66系統(「貿易センター」と「しあわせの村」を結ぶ路線)で実施する。計28台のバス車両に対して、一般社団法人のゲートウェイ・アップ・ジャパンから提供された車載器「V2Xユニット」を市バスに搭載、バスの位置情報を収集してユーザーに発信する。

 この実証実験で利用する車載器のV2Xユニットは、携帯電話網(データ通信)、通常の無線LAN、V2Xユニット間を接続する無線LANの三つの異なる通信機能を搭載する(本田技研工業によるV2Xユニット関連の発表資料)。

 実証実験で得られたリアルタイムの市バス運行情報をオープンデータ化し、市民・企業・行政が一体となってアプリ開発の取り組みなどを行う。リアルタイムの市バス運行情報をオープンデータ化する取り組みは政令指定都市では初という。

 今後の展開としては、まず実験結果を踏まえて、2016年度にバスロケーションシステムの市バス全路線への本格導入を検討する。また、実験の第二段階として、利用者・市民への更なる情報発信のため、デジタルサイネージや車外カメラの導入を検討する。このほか、アプリケーションの開発イベントを開催することも想定する。

 将来の展開として大規模災害時における情報伝達のあり方の検証なども見据える。災害発生時に携帯電話網などの公衆網が仮にダウンしたとしても、例えばV2Xユニット間を結ぶ通信機能を使うことで、バス車両の電源を活用したもう一つの無線ネットワークを構成して、避難情報などの情報伝達に利用できる可能性がある。そこで、民間事業者の技術開発の進展を踏まえて大規模災害時における市バスによる緊急情報の伝達などに展開していくことを計画しており、その検証を進める。

 今回の実証実験の主体は、神戸市、ゲートウェイ・アップ・ジャパン、本田技研工業、ゼンリンデータコム、PCIソリューションズ、ソフトバンクである。

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