写真●「個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進の在り方に関する懇談会」の模様
写真●「個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進の在り方に関する懇談会」の模様
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 総務省は2015年12月21日、企業法人の代表者から委任を受けた担当者が、自分の個人番号カードで電子的に契約書を作成できるように「属性認証」を可能にすると公表した。個人番号カードの活用方法について議論している有識者会議の中間とりまとめ案に盛り込んだ(写真)。

 有識者会議の「個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進の在り方に関する懇談会」の中間とりまとめ案によると、属性認証は2016年から希望者に無償で配る個人番号カードに搭載された公的個人認証の機能や、日本郵便が検討している電子私書箱を利用する。

 政府による電子調達の契約書を作成する際に、企業の担当者が非対面で書面を使わずに資格や役職といった権限を電子的に証明して契約までの手続きをできるようにする。属性認証の仕組みの実現に向けて、2016年の次期通常国会以降、可能な限り早期に法整備を行うとしている。

 また中間とりまとめ案では、個人番号カードを利用して住所地以外のコンビニエンスストアにあるキオスク端末で、戸籍の記録事項証明書を取得できるサービスを開始する予定だと公表した。これまでの住民票のコンビニ交付に加えて、2016年4月下旬をめどに22自治体で戸籍のコンビニ交付を開始する予定という。

 さらに、公的個人認証で利用できる利用者証明の機能について、個人のスマートフォンにダウンロードして利用できるようにすることを盛り込んだ。2016年3月までに実現すべきシステムを具体化し、2016年度以降にシステムの検証や制度整備を行うという。

 このほか中間とりまとめ案では、2015年度をめどに個人番号カードを利用するクレジット決済のビジネスモデルの検討や、2016年2月に個人番号カードの公的個人認証を利用してイベント会場に入場できるチケットレスサービスの実証実験を予定しているという。

 懇談会では、旧姓を使う女性は戸籍上の姓を証明する必要があるため、コンビニで戸籍の証明書が取得できる仕組みに期待する意見が出た。

 それに対して、旧姓を使用している高市早苗総務大臣は、個人番号カードに旧姓を併記する提案をしたものの戸籍法によって不可能だったという経緯を明かし、「公的個人認証を使えば旧姓も分かることにならないか」と述べ、旧姓が利用できる仕組みの検討を懇談会に求めた。また、マイナンバーそのものの利用と、個人番号カードや公的個人認証の利用が混同されているとして、切り分けて説明する必要があると述べた。