エヌビディアは2015年12月17日、同社のグラフィックス仮想化技術「GRID 2.0」に関する説明会を開催した。技術について解説したほか、日産自動車、TOTO、ジャパンマリンユナイテッド、そのほか海外での事例を紹介した。

 GRIDはエヌビディア製GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を搭載したボードを内蔵するサーバー機と、グラフィックス仮想化に対応したドライバー、管理用ソフトを組み合わせたソリューション。サーバー側では、米シトリックス・システムズや米ヴイエムウェアなどの仮想化ソフトを利用する。採用サーバーは、米デルや中国レノボ、米ヒューレット・パッカード・エンタープライズなどが販売している。

 説明会では、GRID事業グラフィックス・バーチュアライゼーションリード・ソリューション・アーキテクトのジェレミー・メイン氏がGRIDの仕組みや要求される背景を解説した。

 メイン氏は、場所やデバイスを問わずに業務を進められる点、データ漏洩に対するセキュリティを確保しやすい点などから、生産性の向上にはデスクトップ仮想化が有用であるとした。一方で最近は、3D画像を扱う専門的なソフトだけでなく、Webブラウザーやビジネスアプリケーション、OSそのものもGPUを利用していると指摘。ユーザーによりレベルは異なるものの、アプリケーションの利用においてGPU性能が要求される状況が広がっているとした(写真1)。

写真1●専門的なソフトでなくてもGPUの利用が広がっている
写真1●専門的なソフトでなくてもGPUの利用が広がっている
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 従来のデスクトップ仮想化で使われていたCPUエミュレーションによるグラフィックス機能の仮想化は、アプリケーションの互換性や表示速度の面で限界がある。ハイパーバイザーを通じてGPUを直接利用する「GPUパススルー」は性能が得られるものの、同時にGPUを利用できる人数に制限がある。また「GPU共有」方式は、人数の制限が緩和されて性能は向上するがアプリの互換性に問題が残る(写真2、3)。こうした問題を解決すべく開発したのが、GRIDだという。

写真2●デスクトップ仮想化における、グラフィックス仮想化の方式
写真2●デスクトップ仮想化における、グラフィックス仮想化の方式
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写真3●CPUエミュレーションによるグラフィックス仮想化は、正しく表示されないなどアプリの互換性に問題がある
写真3●CPUエミュレーションによるグラフィックス仮想化は、正しく表示されないなどアプリの互換性に問題がある
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