米Facebook傘下のメッセージングアプリケーション「WhatsApp」に対して、ブラジルで48時間の一時停止命令が発効されたが、約12時間で同命令が撤回されたと、複数の海外メディア(米Washington Post英Reutersなど)が報じている。

 WhatsAppは、ブラジル当局から犯罪捜査に関連する情報を提出するよう要請されたが、これに応じなかったとしてサンパウロ州裁判所の判事から48時間の一時サービス停止を命じられた。同命令によるWhatsApp遮断は現地時間2015年12月16日深夜に始まり、多数のユーザーが怒りの声を上げ、技術企業は政府の高圧的な措置を批判した。

 すると同州上位裁判所の判事は12月17日、「WhatsAppの怠慢によって数百万人のユーザーが影響を受けることは理にかなっていない」として、一時停止命令を覆した。同判事は下位裁判所に対し、サービス遮断ではなく、より高額な罰金を科すことを勧告している。

 WhatsAppは、情報提供を提出したくなかったのではなく、求められた情報を持っていなかったのだと述べている。

 一時停止が解けると、FacebookのMark Zuckerberg最高経営責任者(CEO)は、「ブラジルでWhatsAppがオンラインに復帰した。あなた方(ユーザー)の声が聞き届けられ、遮断が解除された」と自身のFacebookタイムラインに投稿した。Zuckerberg氏によれば、ブラジルのWhatsApp利用者は1億人以上にのぼる。

 英SimilarWebのデータによると、WhatsAppはブラジルでAndroidデバイスの92.5%にインストールされている。Android上での使用率がわずか2.35%だった競合アプリケーションの「Telegram Messenger」は、WhatsAppが一時遮断された一晩で、150万人の新規ユーザーにダウンロードされたという。