日立公共システムは2015年12月17日、地方自治体向けの財務会計ソフト「ADWORLD財務会計システム」を強化し、新地方公会計制度に対応するための機能をオプション機能として追加すると発表した()。従来の単式簿記ではなく、新制度で利用する複式簿記に対応した。12月18日に販売を開始し、2016年10月から提供する。価格は個別見積もり。

図●ADWORLD財務会計システムの概要。複式簿記の仕訳に日々仕訳を選択した際の負担を軽減する(出所:日立公共システム)
図●ADWORLD財務会計システムの概要。複式簿記の仕訳に日々仕訳を選択した際の負担を軽減する(出所:日立公共システム)
[画像のクリックで拡大表示]

 ADWORLD財務会計システムは、地方自治体の財務会計業務の効率化を支援するソフトである。今回の機能強化によって、新地方公会計制度が求めている複式簿記に対応した。複式簿記で必要な仕訳作業としては、伝票の発生ごとに行う「日々仕訳」と、一定の期間ごとにまとめて行う「期末一括仕訳」のいずれかを選べるようにした。

 期末一括仕訳は職員の事務負担が軽く済むというメリットがあるが、情報をリアルタイムに把握できることなどから日々仕訳の採用が望ましいとされている。ADWORLD財務会計システムでは、日々仕訳を選択した際の負担を軽減する機能として、仕訳候補の自動表示機能と自動変換機能を搭載した。これにより、複式簿記に精通していない職員でも容易に仕訳ができるとしている。

 新地方公会計制度とは、原則として2015年度から2017年度末までの3年間で、複式簿記による財務書類に移行するというもの。従来は単式簿記で財務書類を作成していたが、単式簿記には全体的な財務状況の分析が困難というデメリットがあった。

 ADWORLD財務会計システムは、新制度普及の目的で総務省が地方自治体に無償配布する財務書類出力ソフト「地方公会計標準ソフトウェア」と連携する。これにより、同規模・類似の団体との比較・分析が容易な統一基準に沿った財務書類を出力できる。