写真●三菱東京UFJ銀行の本店
写真●三菱東京UFJ銀行の本店
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 三菱東京UFJ銀行は2015年12月16日、ハッカソンイベントを開催すると発表した(写真)。同イベント向けに銀行APIを準備、開発者のニーズを見極める。銀行APIを公開しようとする流れが強まるなか、外部企業や開発者にとって使いやすいAPIをいち早く開発・提供し、FinTech企業などを惹きつけるのが狙いだ。

 ハッカソンイベント、「Fintech Challenge 2016 “Bring Your Own Bank!”」を2016年3月に開催する。1~2月に参加者を募集し、3月にハッカソンを開く予定だ。銀行APIを公開するに当たり、どういった仕様や機能にすべきかを検討するのが主な目的だ。

 「認証」「残高照会」「振り込み」など幅広いラインナップのデモAPIをイベント向けに提供し、ハッカソンに参加する開発者へのインタビューやアンケートを通して意見を集約。実際にAPI公開に踏み切る際の参考にする。

 デモAPIは現在、同イベントに協賛するTISや米アピジーと協議しながら開発を進めているという。同社はAPI管理プラットフォームやコンサルティングを手掛ける専業事業者で、同分野で豊富な知見・ノウハウを保有している。2015年10月にはTISとの提携を発表した。

 国内で銀行APIを公開した例はまだないが、機運は高まっている。FinTechが盛り上がるなか、新しい金融サービスの誕生を後押しすると期待されているからだ。銀行APIが公開されればFinTech企業は、残高照会や振り込みといった銀行サービスを取り込んだ新事業を作りやすくなる。

 銀行側でも、API公開に対して前向きな姿勢が広がりつつある。金融庁が主催する金融審議会の「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」では、金融機関やFinTechスタートアップ企業、金融庁が参加する形で、API公開のあり方を検討する作業部会を2015年度中に設置する提案が銀行側から出された。

 ただし単にAPI公開が達成されれば良いわけではない。実際に利用されなければ意味がないからだ。三菱東京UFJ銀行は、ハッカソンでの意見集約やアピジーとの協議、既に銀行APIを公開している海外の銀行の例などを参考にして、外部公開するAPIの範囲や粒度、機能などを決めていく見込みだ。