写真1●曜日・時間帯別の人数も確認でき、店舗の営業時間を調整する際の参考になるとする
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写真2●東京駅・名古屋駅・静岡空港のいずれかを通過し、熱海駅を訪れたTJWユーザーの外国人の数を表示。静岡空港の上海線増便により、静岡空港から熱海へ向かう外国人の増加が読み取れるという
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写真3●開発中の情報配信ツールの画面。店舗近隣にいるTJWユーザーの外国人の数を確認。画面上部のタブで国別の内訳も確認しながら配信できる
写真3●開発中の情報配信ツールの画面。店舗近隣にいるTJWユーザーの外国人の数を確認。画面上部のタブで国別の内訳も確認しながら配信できる
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写真4●(左から)Wi2の南昇副社長、Wi2の大塚浩司社長、アクセンチュア アナリティクス 日本統括の工藤卓哉氏
写真4●(左から)Wi2の南昇副社長、Wi2の大塚浩司社長、アクセンチュア アナリティクス 日本統括の工藤卓哉氏
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 アクセンチュアとKDDI子会社のワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)は2015年12月16日、訪日外国人観光客のリアルタイムの動態を分析できる、Webベースの分析ツール「インバウンド・サテライト」を共同発表し、同日付で提供を始めた。両社はWi2の公衆無線LAN網を活用した訪日外国人関連のマーケティングサービスを2014年12月から展開しているが、これまで国内の中小型店舗は料金の高さなどから契約が難しかった。今回のツールは、従来提供していた分析ツールの機能を絞り込み、月額料金を税抜き1980円に抑えることで中小型店舗が契約しやすくしたのが特徴だ(写真1~2)。

 両社はこれまでに「Travel Japan Wi-Fi(TJW)」の名称で、(1)訪日外国人がWi2のアクセスポイントに無料で接続してインターネット接続を利用でき、併せて近隣店舗の情報やクーポンを受け取れるスマートフォン向け接続アプリ(2)国内の商業施設などがTJWを利用する訪日外国人の動態を分析し、訪日外国人に店舗情報やクーポンを配信して誘客を図れるWebベースの分析ツール――を展開している。

 TJWの接続アプリの累計ダウンロード数は100万件を超え、分析ツールの契約企業・団体は約50、同ツールによる情報配信の累計件数は1億件に達する。ただ、分析ツールの利用者はドン・キホーテやビックカメラ、マツモトキヨシなど大手企業に限られていた。

 インバウンド・サテライトはTWJの分析ツールと同様、TJWのアクティブユーザーを分析対象とする。ただし登録可能なスポット数を、(1)自社店舗などを登録する「マイプレイス」3カ所、(2)近隣の大型商業施設や駅などを登録するする「関連地点」3カ所に限定。マイプレイスの周囲にいるTJWユーザーの数と属性別の内訳を確認し、過去のデータと比較できる。併せて、マイプレイスと関連地点との間でTJWユーザーの往来がどの程度あるかも確認できる。当面は分析機能のみを提供するが、2016年には中小型店舗向けの店舗情報・クーポン配信ツールも提供予定としている(写真3)。

 訪日外国人観光客は増加の勢いが続いている。日本政府観光局(JNTO)によると、2015年は1~11月の実績で1796万人に達した。過去最高だった2014年通期の1341万人を既に超え、年末の需要動向次第で2000万人の大台も視野に入る。2016年もこの傾向は続き、JTBは2016年の訪日外国人が2350万人まで増加するとの見通しを発表している。

 TJWは2014年12月に試験サービスを無償で始め、2015年7月の商用サービス化以降も順調に契約企業・団体を増やしている。ただ、配信する情報の総量については「システム面でもアプリ(の画面表示)の面でも制約を設ける段階にはない」(Wi2の大塚浩司社長)といい、個々の訪日外国人に対する情報配信件数をさらに増やしたい意向だ。これまで大手企業に絞っていた契約先を中小型店舗にも広げ、TJWを核としたプラットフォーム全体の活性化を図ることで事業の拡大を図る狙いとみられる(写真4)。

■変更履歴
 記事公開当初、分析ツールの製品名を「Ideal Insight」としていましたが、正しくは「TJWの分析ツール」でした。また、一部写真は開発中のものである旨を追記しました。本文は修正済みです。[2015/12/17 15:00]