米Facebookは現地時間2015年12月15日、実名ポリシーを巡り、新たな手法をテストしていることを明らかにした。すでに日常生活で使っている通称名をプロフィールの名前にしているユーザーについて、身元確認の問い合わせを受ける人数を減らし、名前を証明するプロセスを簡素化したいとしている。

 Facebookは、アカウント登録の際に本名使用を原則とする実名ポリシーを掲げている。周りの人から自分が誰だか分かる名前を使えば、行動や言動に責任を持つようになり、匿名でのいじめや中傷、犯罪に関わる行為の抑止になる。同社は「我々はこのポリシーを堅く守り、これを変えるつもりはない」とした上で、「差別に直面したり阻害されたりしている人々にとっても同ポリシーがプラスに働くことが重要であると認識している」と説明した。

 具体的には、名前を通報するツールを改良する。これまでは、単純に不審な名前を通報するだけだったが、新バージョンのツールでは、なぜその名前を怪しいと考えるか詳しい理由を説明しなければならない。

 また、名前の証明を求められたユーザーが自身の特別な状況や境遇を説明できるツールをテストする。従来は、ユーザー本人が事情を説明する機会は与えられていなかった。

 新ツールは、米国の少数ユーザー向けに試験提供を始めたばかりで、モバイルとデスクトップの両方を対象とする。テストユーザーの反応を見て、他の国にも拡大する。

 そのほか、名前が通報されたアカウントに対して、突然凍結するのではなく、7日間のアクセス猶予期間を設け、弁明のためのオプションやドキュメントを拡大したことも明らかにした。

 Facebookが実名ポリシーの緩和を検討しているとの噂は、10月末に報じられていた(関連記事:Facebookが「実名ポリシー」を緩和へ、12月にも)。Facebookでは昨年、本名とプロフィール名が一致していないLGBTの人々のアカウントを停止して非難を浴びた。また、ストーカーやDV被害から身を守るために実名を使いたくない人々も多くいることが指摘されている(米Mashableの報道)。

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