図●VPS Assembly Process Viewerの画面
図●VPS Assembly Process Viewerの画面
(提供:富士通)
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 富士通は2015年12月15日、製造前に製品の組立検証を3次元データでシミュレーションするソフト群「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VPS」(以下、VPS)において、閲覧機能を高める二つの新製品を追加するとともに、VPSシリーズ全体をバージョンアップした。12月22日から順次出荷する。VPSの開発会社は子会社のデジタルプロセスで、富士通が販売する。販売目標は、2016年度末(2017年3月期)までに50億円。

 VPSは、CADで作成した製品の3次元モデルデータを活用して、生産準備における業務プロセス全体を支援するパッケージソフトである。組立生産準備における製品レビューや製品組立時の工程検討、製造ラインのレイアウト検討、製造用ドキュメント作成などを支援する。実際に部品を製造したり組み立てたりすることなく、CADデータの段階で製品や製品の生産工程を評価できる。

 今回、閲覧機能を高める二つの新製品をVPSに追加した。(1)組立性の検証を行うVPS Manufacturingの工程フロー図(組立ブロック図)をiOS端末上で閲覧するためのビューアソフト「VPS Assembly Process Viewer」(画面)と、(2)3次元CADで付加された寸法、公差、表面仕上げなどのPMI(製品製造情報)をVPS上で閲覧可能にするアドオンソフト「VPS JTR」である。(1)のVPS Assembly Process Viewerを使うと、各工程の組立動画を再生したり、3次元モデルを作業現場で閲覧したりできる。

 新製品の追加とともに、製品全体をバージョンアップした。新版では、元となるCADデータが変更された際に、VPS側で変更に追従する機能を強化した。VPSデータに付加された組み付け動作アニメーションや、工程ごとに想定される作業時間などの製造情報を失うことなく、変更部分だけを差し替えることができるようになった。さらに、CADデータの組立構成の編集時間を短縮する機能として、組み付け対象部品とボルトやねじなどの締結部品の階層を自動で切り分けられるようにした。製造ラインにおいて各工程作業の時間を均等化する機能も強化した。

 VPSの主な製品と価格はの通り。

表●VPSシリーズの主な製品
製品名機能価格(税別)
VPS Assembly Process Viewer組立検証を行う工程フロー図をiOS端末で閲覧するビューア無償
VPS JTR V15L17VPSにPMI(製品製造情報)閲覧機能を追加するアドオン40万円
VPS Standard V15L17VPS Digital MockupとVPS Manufacturingのセット製品400万円
VPS Digital Mockup V15L17VPSの基本モジュール。組立/分解、機構シミュレーション、干渉チェックなど250万円
VPS Manufacturing V15L17組立性の評価や工程の検討など250万円
VPS 組立動画 V15L17組立動画の作成に特化したソフト98万円
VPS GP4 V11L14製造ラインのレイアウト検討や作業性の評価など440万円