製薬大手のノバルティス ファーマは2015年12月11日、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反で受けた行政処分に関わる改善計画書を厚生労働省に提出した。同社は「副作用報告システム」のシステム障害のために、承認済み医薬品の副作用5475症例と、治験薬の副作用154症例を法定の期限内に報告しなかったとして、11月13日付で厚労省から行政処分を受けていた。

 ノバルティスの説明によれば、2015年1月に副作用報告システムを、全世界で運用している社内共通システムに置き換える変更を行った。この変更の際に障害が生じ、厚労省とその外郭団体である医薬品医療機器総合機構(PMDA)への副作用報告が遅延するようになった。

 当初はシステム障害を早期に解消できると認識していたが、実際にはプログラム修正などの対応に手間取り、すべての副作用症例報告を完了したのは9月9日だった。この間、5000件以上の副作用症例を定められた期限内に報告できず、行政処分を受けた。

 ノバルティスは改善計画書の中で「今後、使用中の副作用報告システムの大規模改修を行う際には、考えられるシナリオを全て洗い出し、事前テストを行う」としている。それでもシステムの使用が不可能になった場合のために、代替システムに切り替えたり、紙媒体で副作用報告書を作成したりするための手順書を「12月28日までに作成する」としている。

 ノバルティスは2015年2月27日にも、社内の報告体制の不備のために副作用3264症例の報告が遅延したとして行政処分を受けている。厚労省によれば、副作用報告遅延による行政処分は医薬品・医療機器業界全体でも数年に1度程度で、同社のように短期間に繰り返し処分を受けるケースは珍しいという。

ノバルティス ファーマの発表資料