写真1●NEC 執行役員の江村克己氏
写真1●NEC 執行役員の江村克己氏
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写真2●自己学習型システム異常検知技術
写真2●自己学習型システム異常検知技術
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 NECは2015年12月10日、研究開発の最新状況についての説明会を開催した。2018年度までに人工知能(AI)関連技術の研究者を倍増させるなど、今後の方針を説明。AIを用いたサイバー攻撃の自動検知技術も発表した。

 同社執行役員の江村克己氏は、NECの強みを発揮できる領域を絞り込んで、研究開発を進める方針を表明(写真1)。中でも注力するのが「AI」「セキュリティ」「コンピューティング」の三つの領域で、研究者の7割をこの分野に集中させる計画という。例えばAIの研究者は、現状の約150人から2018年度には約300人に倍増させる。

 オープンイノベーションにも力を入れる。これは、大学や顧客企業などとの連携で新たな技術の開発を目指すもの。社外との連携に投入する費用は、2012年度から2015年度にかけて3割増加したが、2018年にはこれをさらに倍増させる計画という。

 同日付で同社が発表した、「自己学習型システム異常検知技術」についても説明した(写真2)。機械学習によってシステムの通常の動作を把握しておくことで、サイバー攻撃などによる異常を早期に検知する技術だ。パソコンやサーバーなどであらかじめ検知用のソフトを動作させておき、平常時のプログラム起動、ファイルアクセス、通信先などを学習。ウイルス感染などによって平常時と異なる動作が起こると、異常と判断する。パターンファイルを使った従来の方式では未知のサイバー攻撃を検知するのが難しかったが、今回の技術を用いれば早期に検出できるとする。既に実証実験を進めており、2016年度には大企業への展開を目指す。