写真●第7回IT利活用制度整備検討会の模様
写真●第7回IT利活用制度整備検討会の模様
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 内閣官房IT総合戦略本部は2015年12月10日、第7回IT利活用制度整備検討会で中間整理案を公表し、本人同意に基づいて個人情報を収集・管理するとしていた代理機関に、医療や災害防止などの分野で改正個人情報保護法の特例措置を与えるとした。また、民泊などを仲介するサービス事業者には、利用者らの本人特定などを義務付ける(写真)。

 IT総合戦略室は検討会の意見を踏まえて12月11日からパブリックコメント(意見募集)を行い、2016年の通常国会にIT利活用促進法案を提出するとしている。法整備が必要なものをまとめたとしているものの、議論を呼びそうだ。

 中間整理案によると、代理機関はITの活用によって大量の個人情報の利用を推進する組織で、「個人情報委託管理型」と「個人情報収集分析型」の二つに分類。このうち「個人情報委託管理型」は、代理機関が本人の委託などで個人情報を含むIDやパスワード、クレジットカード、お薬手帳などを預かり、本人に代わって情報管理する。

 もう一つの「個人情報収集分析型」では、医療と交通事故・災害防止という二つの分野を例に挙げている。

 医療分野では、代理機関が複数の医療機関などに代わって個人情報を収集し、匿名加工情報や個人情報を含まない分析結果を医療機関や大学、製薬企業などに提供する。改正個人情報保護法で本人同意が原則必要となる「要配慮個人情報」については、本人にオプトアウト(利用停止)の手段を提供すれば利用できるように、個人情報保護法の特例を立法措置で盛り込むとした。

 交通事故・災害防止などの分野でも、代理機関がタクシー会社や運送会社などから、自動車の位置情報、顔画像を含む映像といった個人情報を収集し、個人情報を含まない分析結果を自動運転や3D地図の開発企業などに提供する。本人同意を得るのが困難な個人情報の利用には、同意なく情報を提供できるように個人情報保護法の特例を立法措置で盛り込むとしている。

 いずれも特例が認められる事業については、国が申請を受けて一定の要件を審査して事業を認定する。認定する視点として、医療・介護や事故・災害防止など「国民の理解が得られやすい分野に係る事業」「新たな知見を得るための調査」などを挙げている。

 一方、民泊などをインターネットで仲介するシェアリングエコノミーサービス事業者には、サービス提供者・利用者の本人特定事項の確認や、業法許可・サービス水準といった情報の利用者への提供、苦情や相談窓口の表示も義務付ける。損害賠償に備える措置や、サービス提供者・利用者が相互評価を行う仕組みといった、仲介事業者の責務も検討するとした。

 これらを海外事業者にも域外適用して、参入規制や国内事業所の設置などの要件を設ける。また、規制対象となるサービスは政令で逐次追加できるようにする。