米Yahoo!は現地時間2015年12月9日、中国Alibaba Group(阿里巴巴)の持ち株の分離計画を撤回すると発表した。同社取締役会が慎重に検討した結果、全会一致で決定したという。

 Yahoo!は今年1月、保有するAlibaba株を税金がかからない方法で分離する計画を明らかにした。新たに設立する投資会社にAlibaba株を移管し、新会社の株式をYahoo!の株主に分配するとしていた(関連記事:Yahoo!、Alibaba株を分離へ、Q4決算は減収減益)。しかしAlibaba株の分離が非課税対象になるかどうか、米内国歳入庁(IRS)が判断を控えたため、米Starboard Valueをはじめとする株主から同計画の中止を求める声が上がっていた。

 株主価値を高めるよう物言う株主からのプレッシャーが増す中、先週、Yahoo!の取締役会はAlibaba株分離やインターネット事業売却を含めて様々な選択肢を検討する一連の会議を開催すると、米メディアが報じていた(関連記事:Yahoo!、取締役会でインターネット事業売却を検討か)。

 Yahoo!の取締役会はAlibaba株分離計画の中止を判断し、今後はそれに代わる構造改革の手段を検討する。Maynard Webb会長は、同計画がYahoo!および株主にとって非課税になると確信しているものの、様々な理由に加え、課税の懸念に配慮したと述べた。代替の手段として、Alibaba株を除くYahoo!の資産を新たな上場会社に移管する“逆スピンオフ”計画を模索する。新会社の株式はYahoo!株主に比例配分方式で分配され、Yahoo!とは別に市場で取引される。
 Marissa Mayer最高経営責任者(CEO)は、「当社価値を高め、投資家への先行き不透明感を軽減する取り組みに加え、最終的にAlibaba株をYahoo!と切り離すことは事業改革を継続する上で重要だ」とし、「来年は、収益性の向上と長期的成長に焦点を絞って優先的に投資する」と述べた。

 なお、逆スピンオフ計画は複雑なプロセスを要するため、手続き完了には1年以上かかる可能性があるという。

 Alibaba株分離計画の中止については、Yahoo!が正式発表する前日に、米メディアが関係筋の情報として伝えていた。逆スピンオフの対象となる資産には、Yahoo!の検索事業や電子メール事業のほか、SNS事業「Tumblr」、ヤフー株式などが含まれる(米New York Timesの報道)。

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